みなさんは「漢方」にどのようなイメージをお持ちでしょうか。苦くて飲みにくいけれどもふつうのお薬よりはからだに良さそう、などと認識されている方は多いでしょう。
漢方 は 腰痛 にも効果が期待できます。正しい理解の一助となれば幸いです。
腰痛の改善に漢方を上手に取り入れる
急性の腰痛の場合
今まで何ともなかったのに予期せずやって来る腰の痛みの典型例は、ぎっくり腰です。正式名称は急性腰痛症といいます。はたしてこれがぎっくり腰なのか、慢性の腰痛なのか判断できない場合は以下の症例に該当するかご確認ください。
- 朝、からだを起こそうとすると腰に強い痛みが走る
- 上半身を起こせない、または背筋を伸ばしたまま動けない
- 痛みのために歩くことができない、または歪んだ不自然な姿勢になってしまう
ぎっくり腰は、日頃の生活習慣の乱れや姿勢の悪さ、ストレスなどさまざまな原因の積み重ねによって来たるべくして来る痛みです。
そのようなぎっくり腰がみるみる治る、というわけではありませんが良い漢方薬があります。「疎経活血湯」(そけいかっけつとう)です。「活血」と読んで字のごとく血行を良くする効果があります。
急性以外の腰痛や疾患にも用いられる総合漢方薬です。配合生薬の種類が多いため、効果は比較的落ち着いていて穏やかにゆっくり現れます。
ちなみに漢方では配合生薬の種類が少ないほうが効果がシャープに現れます。思っていたほど効いていないと物足りなさを感じるかもしれませんが、きちんと効いています。
慢性の腰痛の場合
一つめの原因には、冷えと湿気によるものが考えられます。もともと胃腸の調子が悪かったり、暴飲暴食などで胃腸のはたらきが低下すると水分代謝に影響を及ぼし、腰痛につながります。
また、身近にご高齢の方やおからだの弱い方、ご病気の方などがいらっしゃると思い当たることがあるかと察せられますが、冷えによって腰痛が悪化することがあります。
例えば梅雨の季節や台風、低気圧が近づくと腰痛が重くなる、朝起きたときがいちばん痛いということはありませんか。湿気の多い職場で働く方にも多くみられます。
そのような方々にお勧めできる漢方は、苓姜朮甘湯(りょうとうじゅっかんとう)です。特に腰から下が冷えて痛む、といった場合に効果があります。
桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)も、胃腸が弱くてふつうの痛み止めが飲めない方に一度お試し頂きたい漢方です。
真武湯(しんぶとう)は、鎮痛効果も持ち合わせています。からだを温め、からだ全体の機能を高めます。
三つの漢方を飲み合わせることは、控えたほうが良いでしょう。
二つめは、腎機能の低下によるものです。慢性腰痛のなかでは最も多いケースです。疲れているときに症状が出やすいようです。
八味丸(はちみがん)は、中腰になっているとつらいといった症状に効果があります。六味丸(ろくみがん)は、滋養強壮作用が強いので眼精疲労にも効果があります。眼が疲れると腰痛になりやすいので、一石二鳥の効果です。
副作用と使用上の注意
漢方薬は自然のものだから副作用がなく安心、と誤解されている方は多いようです。漢方薬も薬ですから、副作用はあります。体質に合わない薬を飲めば、胃腸障がいやアレルギーのような異変が現れる場合があります。
自己判断は危険ですから、購入する前に医師や薬剤師に相談してください。特に、以前に薬を使用してアレルギー症状が出たことのある方、妊娠または授乳中の方、ご高齢の方、小さいお子さん、他に薬などを使っている方は必ず相談しないと命に関わる事態を招きかねません。
ごくまれに、間質性肺炎など重篤な副作用が現れることもあります。薬は毒でもあることを忘れないでください。
最後に、漢方に依存せず、生活習慣の改善こそ大切であることを念頭に使用することをお勧めします。
まとめ
腰痛の改善に漢方を上手に取り入れる
急性の腰痛の場合
慢性の腰痛の場合
腎機能の低下によるもの
副作用と使用上の注意