腰痛の症状を引き起こす要因として、大別すると三つほど上げることが出来ます。筋肉痛を要因とする腰痛、椎間板などの摩耗による神経系の痛み、そして心因性のストレスによる腰痛です。これらのうち最も多いと言われる、 筋肉痛 による 腰痛 について掘り下げてみたいと思います。
筋肉痛と腰痛の関係
腰痛について
ヒトが二足歩行での生活を始めたときから、腰痛は宿命づけられていたのかもしれません。現在では世界人口の9.4%もの人々が腰痛の症状を訴えています。
様々な要因を引き金として発症する腰痛ですが、ほとんどの方が慢性的に痛みを訴え、ぎっくり腰などの一時的な腰痛でさえ再発したりしてなかばあきらめたように腰痛と付き合って生活しているのが現状です。
腰痛の原因を特定することは難しく、決め手となる治療法に巡り合えないことが、その理由にあげられます。というのは、神経系の腰痛と言われる座骨神経痛でさえ、椎間板ヘルニアを要因とする場合もあり、その椎間板ヘルニアによる腰痛は軟骨成分の摩耗もありますが、何より周囲の筋力の衰えが原因となる場合が多いのです。
腰痛は病気ではありません。症状です。ですから治療に当たっては、腰痛の症状を引き起こす原因となる疾患を確実に探り当てて損傷を修復させるか、生活習慣の中でのリハビリ、エクササイズなどにより筋力強化に努めて、腰への負担を軽くすることが有効となります。
筋肉痛について
筋肉痛というのは、心臓の筋肉を除くヒトの身体の全ての筋肉において起こりうる症状です。急に運動したり、激しい運動を続けたり、重い物を持ち上げたりしたときなど、よく筋肉痛になります。
つまり筋肉に大きな負荷がかかり、筋肉の組織が破壊されることによって痛みを感じるのです。筋肉痛を原因とする腰痛を筋筋膜性腰痛と言います。ぎっくり腰などの急性の腰痛もこれに含まれます。
筋筋膜性腰痛
ヒトの身体は基本的に、背骨を中心にバランスを取りながら2本足で生活するように出来ています。その背骨の負担を軽くするために周囲に筋肉がついています。背骨を取り巻く筋肉のうち、真ん中あたりから骨盤にかけて大腰筋という筋肉が左右対称に付いています。
この大腰筋が前屈姿勢をとると縮み、上半身を反らすと伸びて、バランスを保つことが出来るのです。筋筋膜性腰痛というのは、ぎっくり腰などの急性腰痛も含まれるのですが、この大腰筋が収縮したままの状態を言います。
大腰筋が収縮したままでいると、背骨は前に引っ張られる形になります。すると前傾姿勢のままになり、バランスを崩してしまいますので、何とか姿勢を保とうと、後ろ側の筋肉が無理をして背骨を引っ張ろうとします。その結果、後ろ側の筋肉に疲労が溜まり筋肉痛になります。
骨盤から背骨を支える前側の筋肉は縮み、後ろ側の筋肉が疲労してしまえば、当然腰への負担は大きくなります。たとえば、前傾姿勢で長く掃除機をかけているときの腰の痛み、庭の草採りを終えて立ち上がるときなどの痛みは紛れもなく筋筋膜性腰痛です。
筋筋膜性腰痛の診断と治療
痛みというのは相対的で、本人にしかわからないものです。腰痛を訴えて整形外科を受診しても、骨に異常のないことを告げられ、消炎鎮痛剤などを処方されるだけというケースが多くあります。実際にピンポイントで痛みの原因を突き止めることは、専門医であっても難しいと言われています。
なるべくご自分の日常における腰痛の度合い、頻度などを把握したうえで医師に相談するなり、鍼灸院への通院などの対処療法が望ましいでしょう。たとえば、中腰になるのがとても辛いとか、長く椅子に座った状態から立ち上がると、腰に痛みが走る、普段から猫背気味である、などが当てはまるとすれば、筋筋膜性腰痛である可能性は非常に高くなります。
筋筋膜性腰痛は筋肉細胞の損傷による腰痛ですので、確実に損傷個所を探り当てることが出来ない限り、これといった具体的な治療法があるわけではありません。筋肉の回復を待ちつつ、ストレッチやウォーキングなどを習慣化させ、筋肉の強化に努めることがいちばんの治療法と言えます。
とは言え、無理をして痛みが増す場合もありますので、決してご自分の体力を過信せず、日常の中で出来る範囲で続けていきましょう。
まとめ
筋肉痛と腰痛の関係
腰痛について
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筋筋膜性腰痛
筋筋膜性腰痛の診断と治療