慢性的に腰痛をお持ちでない女性の方でも、生理に伴い、鈍い腰の痛みに悩まされることがあります。この腰痛は生理に伴う症状のひとつと言ってよいでしょう。生理という、女性特有の神秘的な身体現象は、身体に様々な変化をもたらします。
生理前 の腰痛と生理中の 腰痛 ついて記します。
生理前の腰痛と生理中の腰痛
生理による腰痛について
生理に伴う腰痛には、生理前3日~10日の間に発症し生理開始とともに痛みのなくなる月経前緊張症と、生理中に発症する月経困難症との二種類があります。
月経困難症については個人差があり、また加齢とともに減っていく傾向にあります。しかしながら生理前の月経前緊張症による腰痛は、排卵する可能性のあるほとんどの女性が発症します。
月経前緊張症
生理の始まる1~2週間前から起こるイライラなどの不安定な精神状態、腰痛、頭痛、腹痛などの身体的な不快症状を月経前緊張症(PMS プレ・メンストラル・シンドローム)と言います。生理前の腰痛は、おおむねホルモンバランスの急激な変化を原因として起こります。
女性の身体は、生理を迎えるにあたって経血を排出しやすくするために関節を緩めて、骨盤を開きやすくしなければなりません。そのために卵巣ホルモンの一種であるリラキシンというホルモンを分泌します。
これによって、骨盤をはじめ、普段バランスよく身体の動きを支えていた関節が緩み、部位によっては無理がかかり、腰痛を引き起こす原因となるのです。また経血がうまく排出されずうっ血した状態になると、血行不良により筋肉や関節の柔軟性が失われ、腰痛を引き起こすことになります。
この場合、経血の排出が始まると自然に腰痛も治まっていきます。またプロスタグランジンというホルモンの過剰分泌が腰痛を引き起こしてしまう場合もあります。
プロスタグランジンの過剰分泌
プロスタグランジンというのは、子宮を収縮させるための黄体ホルモンの一種です。子宮を収縮させるのは、経血を排出しやすくするためです。
プロスタグランジンが過剰に分泌されると、子宮のみならず周囲の筋肉も収縮してしまいます。そして筋肉の収縮により、血行も悪くなります。血行が悪くなると、うっ血、腰痛を発症するということになるのです。
月経困難症
一般的に生理に伴う様々な痛みの症状を生理痛、もしくは月経困難症と言います。生理を迎える多くの女性がこの症状に悩まされます。特に経験の浅い若い女性に多く、やがて加齢とともに痛みも軽くなっていきます。その症状の多くは頭痛、腹痛、嘔吐、そして腰痛として表れます。
月経困難症による腰痛の原因としては、充血による血行不良、うっ血により腰が重くなること、また月経前緊張症と同じようにプログラスタンジンの過剰分泌や、骨盤の歪みなどが挙げられます。
月経困難症は個人差が大きく、全く感じない方から、日常の生活が困難になる方まで様々です。けれども生理が終われば治まるため、安静にしてやり過ごすか、鎮痛剤の服用によって対処する方法が一般的です。
生理による腰痛への対策
生理による腰痛の主な原因は血行不良です。温めることによって血行不良は改善されます。冷えは禁物です。タオルを巻いたり、テーピングなどで常に冷やさないよう心がけましょう。ゆっくり湯船に浸かり、腰だけでなく身体全体を温め、心身共にリラックスすることも大切です。
またカイロや温湿布などの使用も効果的です。鎮痛剤による対処は手軽で一般的に行われています。プログラスタンジンの合成阻害作用を持つ、ロキソニン・ポンタール・ボルタレンなどの非ステロイド系鎮痛剤の服用が主流になります。
重度の場合には、低用量ピルを服用することもあります。
しかしながらこのような薬物は常用することによって効果も薄れ、ますます服用し、依存的になってしまいがちですので注意が必要です。適当なタイミングで産婦人科医へ相談することが望まれます。
まとめ
生理前の腰痛と生理中の腰痛
生理による腰痛について
月経前緊張症
プロスタグランジンの過剰分泌
月経困難症
生理による腰痛への対策