水泳で腰痛が良くなった、そんな言葉を聞く一方で、水泳で腰を痛めた、という人もいます。 腰痛 と 水泳 の関係は、その痛みの原因や水泳の方法によっても異なります。
腰痛を改善する方法、悪化させてしまう方法、その違いを考えてみましょう。
水泳は腰痛に良い?悪い?
水中の特徴
水中の特徴はまず、その浮力と水圧、抵抗にあります。
一般に、陸上では体重の3/5もの負荷が腰にかかるとされています。しかし、水中ではおへそまで浸かると体重は55%に、首までつかると10%になります。そのため、腰にかかる負担を軽減することができるのです。
また水圧は自覚のないレベルで身体を圧迫しており、これによって静脈血やリンパ液の循環を促進することや、微小なマッサージ効果も期待されます。一方で水中での運動は様々な方向への動きに対して、水による軽度の抵抗を生み出します。
腰痛のタイプと水泳
水泳が腰痛を良くするのか、悪くするのか、ということですが、これは腰痛のタイプによります。腰痛の原因としては腰の筋力低下によるものと、腰の筋肉の使い過ぎによるものと2つのタイプに分かれます。
いわゆる運動不足のような腰周りの筋力が低下している人であれば、普通の人が筋肉で支えているような力に耐えることができず、腰椎や椎間板、靭帯などに負荷が集中してしまい、すぐに腰が痛くなってしまいます。
このようなタイプの腰痛であれば、水泳によって腰の筋肉を動かしていくことが腰痛を緩和してくれます。水泳には腰の曲げ伸ばしやひねりといった動きが欠かせないため、スムーズに腰周りの筋肉を使うことができます。
しかし、骨や椎間板への負担によって既に椎間板ヘルニアや腰椎分離症といった変性をきたしている場合、過度な曲げ伸ばしやひねりは痛みを助長する可能性があります。このような整形外科疾患の急性期にあたる場合は水泳は避けた方がよいでしょう。
また、腰周りの筋肉の使い過ぎが原因となる腰痛であっても、痛みを助長する恐れがあります。筋肉の使い過ぎの原因は過度な運動負荷による場合や腰周りの筋肉の使い方が誤っている場合など様々ですが、このような場合の腰痛は筋肉に炎症が起こってしまっている状態です。
炎症が起きている状態でさらに腰の筋肉を酷使してしまうと、さらに腰痛を悪化させてしまいます。
特に負担のかかる泳ぎ方
泳ぎ方の中でもバタフライや平泳ぎといったフォームには腰を大きく反らせる動きが含まれています。この動きは腰椎の過度な反りを必要とするため、腰痛を誘発しやすいとされています。特に腰痛持ちの人は、腰椎が反り返っている傾向にあることが多いため、避けた方が良いでしょう。
まずはウォーキングから
また、普段から運動不足の方であっても、まずは水中でのウォーキングから開始するのが良いでしょう。
水中では前述の通り浮力によって重力による影響が取り除かれています。そのため、普段はかかっている上から下へ身体を押しつぶすような力が非常に小さくなります。これは、腰だけでなく、股関節や膝関節が悪い方にとっても非常に有益です。
その一方で水の抵抗によって身体を前に押し進める方向へは軽度の抵抗感があります。これによって普段かかっている腰への負担を和らげつつ、腰の筋肉を鍛えることができます。
また、水による抵抗の強さは自らの動きの速度に依存して変化します。そのため、激しく動くと強い抵抗が、ゆっくり動くと軽い抵抗がかかるようになっており、自分の身体機能に合った抵抗を効率よくかけることができます。
歩くという動作には腰や骨盤の微妙な曲げ伸ばし、ひねりによって支えられています。これらの動きによる筋力強化を普段より負担を和らげつつ、効率よく行うことができるのです。
動き方、泳ぎ方次第で毒にも薬にもなる水中運動ですが、まずはウォーキング程度から始めてみるのはいかがでしょうか。しかし、誤った動きは腰痛を悪化させてしまう危険性も含んでいます。痛みが強くなる場合は決して無理をしないことも大切です。
まとめ
水泳は腰痛に良い?悪い?
水中の特徴
腰痛のタイプと水泳
特に負担のかかる泳ぎ方