腰痛の治療において手術という選択をされる方は、そう多くはいません。手術は大げさだと思い込んでいる方が多いのも事実ですが、様々な手術法があるということが知られていないのも理由のひとつです。 腰痛 の 手術 の種類と、メリット・デメリットについてお話します。
腰痛治療における手術法あれこれ
腰痛の治療法
我慢できない腰痛を解消するために病院を受診すると、まず勧められるのが保存療法です。
保存療法とは、安静を保つ、コルセットを着用する、消炎鎮痛剤やブロック注射などにより痛みを抑える、適切なリハビリにより背骨周辺の筋力強化に努める、といった治療法を症状に応じて混ぜ合わせつつ、経過を観察していく対処療法のことを言います。対処療法ですので、個人差もあり、また治療後の生活習慣によっては再発の可能性が大きくなります。
保存療法の経過観察後、3ヶ月をめどに回復の兆しがみられないときには手術を勧められる場合もあります。また、しびれや痛みがひどく生活が困難な場合、スポーツ選手などがすぐに痛みを取り除かなければならないといったケースには手術という治療法が選択されます。
いずれにせよ腰痛の治療において手術という治療法は、とても少ない割合で選択されてきました。
手術法あれこれ
日本での腰痛の手術というのは、最後の手段、緊急の手段としてわずか5%程度だったのですが、近年レーザー治療などの技術の発達により、気軽に腰痛手術を受けられる環境が整ってきました。
腰痛手術を、身近なものとして受け入れやすくしてくれたのがレーザー治療法と言えます。わずか15分ほどの手術で入院する必要もありません。椎間板からはみ出した髄核(ヘルニア)を、レーザーを照射することによって小さくし、元の場所に収まるようにします。
身体への負担も少なく日帰りで手術できるという手軽さから、近年施術例が増えています。
腰痛手術として最も一般的に行われているのが、ラブ法です。これは直接目視による手術です。背中側を切り開き、腰椎を削り、痛みの原因となっている髄核(ヘルニア)を切除する手術法です。同じ手術をマイクロ顕微鏡を使い、より小さな規模で施術することをマイクロラブ法と言います。
全身麻酔が必要で、手術には30分~1時間を要します。さらに1~3週間の入院が必要となります。
日帰りでできるもうひとつの手術法として、PN法というのがあります。局所麻酔により行われるこの手術法は、背中から細い管を差し込み、はみ出した髄核(ヘルニア)を取り出していきます。1時間程度の手術で、後遺症もなく安全性といった面でも高い評価を得ている手術法です。
MED法と言うのは、肉眼でなく内視鏡を使って確認しながらヘルニアを取り除く手術法です。1995年に米国で開発されたこの手術法は、傷口も小さく、術後の回復も早いうえに、脊髄周囲への影響も少なく、腰痛手術においてかなりの効果を発揮しています。
しかしながら高度な技術と設備を必要とするために、対応できる病院が少ないことが現状です。
外傷などにより脊椎が不安定な状態におちいったり、激しい神経の圧迫がある場合、脊椎の矯正が必要な場合には、脊椎固定術という手術法を行います。骨の移植や金属製のプレート、スクリューなどにより脊椎を固定する方法です。
固定された脊髄が安定するまでには6カ月ほどの期間が必要となります。
腰痛手術として一般的に行われて来たのが椎弓切除術と言う手術法です。脊椎狭窄症の症状の著しく重い場合にのみ行われてきました。全身麻酔をかけて、神経を圧迫している椎弓を削り取っていく手術法です。
手術のメリットとデメリット
様々な技術開発が進んで、以前に比べると腰痛手術は多様化し、選択できるようになりました。面倒な手順を踏まずに、その日のうちに痛みの原因を取り除くことが出来ることは、多忙な現代人にとっては、とても魅力的なことです。
けれどもまだまだ認知度が低く、手術による治療が普及していないのが現状です。保険適応外の手術もあり、高い手術費用を支払わなければならないことも理由のひとつです。さらに確実に完治するかというと、100%とも言い切れません。
手術後の生活環境によっては再発する可能性があります。MED法のように設備と高度な技術を必要とする手術もあります。
どの手術法が適するかは、症状と患者本人の体力、経済環境にもよります。また手術をしない腰痛治療の技術も、ずい分と発展してきています。予防が何よりの治療法とも言えるかもしれません。最終的には、どの治療法を選ぶかは患者本人に委ねられることになります。
まとめ
腰痛治療における手術法あれこれ
腰痛の治療法
手術法あれこれ
手術のメリット・デメリット