生理と頭痛はとても密接な関係にあります。生理になると生理痛に伴い、頭痛を発症する方もいますし、生理の始まる前に必ず頭痛になる方もいます。特に片頭痛との関係は深く、初潮時に片頭痛を発症し閉経後に治まるという方も多くいます。 頭痛 と 生理 との関係についてご案内します。
生理を報せる頭痛と生理による頭痛
生理とは?
生理とは、女性の体内にある子宮の内部壁がおよそ4週間単位で剥落と新生を繰り返すことを言います。子宮は受精卵を迎え入れ胎児として育むために、内装を整えておかなければなりません。その為に毛細血管を張り巡らせたフカフカのお布団のような壁を作って準備を整えます。
しかし受精卵が来なければ、いつまでも同じ壁で待つわけにもいかず、古い壁を体外へ排出し、新しい壁を作らなければなりません。およそ4週間周期で行われるこの女性特有の身体作業を、生理、あるいは月経と呼びます。
生理を報せる頭痛(月経関連片頭痛)
まるで生理が始まることを報せるかのように、2~3日前から頭痛を発症することがあります。この頭痛は生理痛による頭痛とは違い、片頭痛の症状のひとつで月経関連片頭痛と呼ばれます。月経関連片頭痛は、生理の2~3日前から生理中3日目くらいまで頭痛が続きます。
他の時期の頭痛に比べると痛みは極めて強く、通常服用している鎮痛剤では効果を得られないこともあります。発症の要因として、エストロゲンという女性ホルモンの急激な変動が挙げられます。
エストロゲンとは、皮膚や粘膜のツヤとハリを保ち、妊娠しやすい態勢を整えるなど、女性が女性らしくあるための女性ホルモンの一種、俗にいうフェロモンのことを言います。女性の身体は、生理という子宮内の改装を行うにあたって、急激にエストロゲンの分泌を減少させます。
急激に潤いを失う身体の内外の器官は硬化し、過剰反応したり、誤作動を繰り返したりします。そして頭痛を発症します。
更年期の女性に発症する片頭痛も、エストロゲンの急激な変動が原因と言われています。また妊娠中や、閉経後の女性に片頭痛が少ないのは、エストロゲンの量が安定していることによります。
生理痛
生理痛とは、生理の最中に下腹部や腰部に感じる痛みのことを言います。これは子宮が古い内装(経血)を押し出そうとして収縮するために起こる痛みです。
生理痛は子宮そのものが痛むわけではなく、子宮の収縮に伴い、周囲の臓器や腹膜が緊張することによって腹部の神経が刺激され発症します。
冷えや血行不良、うっ血、あるいは大量の経血などにより子宮が激しく収縮しなければならないことが痛みの要因です。この生理痛に伴い、頭痛を発症することもあります。
生理痛に伴う頭痛
大量経血により排出が困難であればあるほど、子宮は収縮しようとします。子宮を収縮させるためにはプロタグランディンというホルモンが分泌されます。
ところがプロタグランディンの作用は子宮のみならず、全身に行き渡ってしまいます。このため全身の筋肉が緊張し、頭部においても血管が収縮し、頭痛を発症します。
プロタグランディン分泌が要因となる頭痛に、鎮静剤を服用してしまうと分泌を助長することがありますので注意が必要です。頭痛発症前に、あらかじめ予防として服用するか、痛みのひどい場合には医師への相談も必要です。
生理中の片頭痛(月経時片頭痛)
生理に伴い、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少します。後を追うようにセロトニンも減少していきます。セロトニンは、精神面の安定に欠かせないホルモンとして知られていますが、血液中の血小板に含まれ、止血や血管の収縮にも作用する物質です。
セロトニンが減少することによって血管は拡張します。拡張した血管は周囲の神経を刺激します。そして片頭痛を発症します。生理開始後、生理中のみに発症する片頭痛を月経時片頭痛と呼び、生理前に発症する月経関連片頭痛とは区別します。
生理中の頭痛は重症となるケースが多いので、鎮静させるために薬の服用が多くなりがちです。薬物乱用におちいらないよう、効果的な薬を選択することが大切です。また医師へも相談してみましょう。
まとめ
生理を報せる頭痛と生理による頭痛
生理とは?
生理を報せる頭痛(月経関連片頭痛)
生理痛
生理痛に伴う頭痛
生理中の頭痛(月経時片頭痛)