靭帯損傷という言葉は、スポーツ選手が戦線離脱したきの症名としてよく聞かれる言葉です。そもそも 靭帯損傷 とはどういうことなのでしょう?靭帯断裂との境目はどこにあるのか? 足首 におけるケガのうち、もっとも多いと言われる捻挫との関係性と併せて、ご案内します。
足首における靭帯損傷と捻挫
靭帯損傷と靭帯断裂と捻挫
靭帯損傷とは、関節をつなぐ靭帯が、何らかの強制的な力により伸びたり切れたりすることを言います。はっきりと切れた靭帯が認識された場合には靭帯断裂と診断されます。
一般的に靭帯損傷は、捻挫とほぼ同義語として使われます。捻挫というと、おもに足首のケガとして認知されていますが、他の関節においても発生します。
足首の場合、身体を支える重要な関節として、設置する地面のデコボコに応じてバランスをとらなければなりません。そのため、その柔軟性以上の負担を強いられることがあります。過剰な負荷により、可動域を超えてしまったり、踏み外してひねったりすることの多い関節と言えます。
足首関節における靭帯
9つもの骨からなる足首の関節は、実に複雑な動きに耐えられるように出来ています。これらの骨をつなぐ靭帯は、身体の外側に3本、内側に1本の合計4本あります。
これらがうまく機能し合って、バランスよく身体を支えています。足首の関節は、体重を支えるために、力が外へ逃げない構造になっています。
さらに靭帯も外側に3本なので、必然的に内側へ曲がりやすい構造でもあります。内反捻挫といって足首を内側にひねるケースが多いのはこのためです。
靭帯損傷のメカニズム
足首を内側にひねったときに、まず損傷する靭帯は外側にある3本の靭帯のうちの前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)です。前距腓靭帯は距骨(きょこつ)と呼ばれる足首前面の要となる骨が前へズレないようにする働きがあります。
前距腓靭帯が切れるか、伸びるかしてしまうと、距骨が前へズレて力が分散されてしまいます。この状態では、軽度の捻挫と診断され、多少の痛みを伴いながらも歩くことはできます。
さらなる強い力が加わると、踵距腓靭帯(けんきょひじんたい)が損傷、断裂します。この状態では、足首関節はとても不安定になり、歩くことさえ困難になります。
このような診断は、目視や触診で判断できることではありません。必ず専門の病院での適切な診察を受けましょう。
靭帯損傷の診察方法
靭帯損傷の場合、通常のレントゲン撮影では判断しにくいためストレスレントゲン撮影という方法を用います。これは足首をさまざまな角度に曲げたり伸ばしたりして、あらゆる角度から複数枚の撮影を行う方法です。
ストレスレントゲン撮影によって、どの靭帯がどの程度損傷しているかを知ることができます。また足首関節のぐらつきなどの動揺性も確かめることができます。ストレスレントゲン撮影によって、靭帯損傷、もしくは靭帯断裂の診断が下されます。
多少の断裂を含む靭帯の繊維の損傷と伸長を靭帯損傷、はっきりとした断裂が認められたら靭帯断裂と診断されます。
靭帯損傷の治療~保存療法と再腱手術~
靭帯損傷の治療法は、その症状程度によって変わります。受傷したときの応急処置としては、安静、冷却、圧迫固定、拳上という四つの処置が大切とされています。
その後、専門医を受診することによって損傷のみか、大きな断裂があるか、あるいは骨折・脱臼の診断が下されることもあります。
受傷したら応急処置でできることはやりましょう。応急処置を怠ったら、その後の回復に大きな影響をおよぼしてしまいます。
靭帯損傷と診断されたら、患部をテーピングやギプスなどにより固定する保存療法がとられます。回復するまで動かさないことが大前提です。
また靭帯断裂と診断されたら、再腱のための手術をすることもあります。けれども最近ではその後の身体への負担を考え、ギプス固定などによる保存療法がとられることが多くなりました。
捻挫などの関節のケガは、一度受傷してしまうと、習慣化する恐れがあります。しっかりと完治させなければなりません。また軽い痛みだからと放っておくと、変形性足関節症へと進行してしまう危険性もあります。
どのような症状であれ、侮ることなくしっかりと治療につとめましょう。
まとめ
足首における靭帯損傷と捻挫
靭帯損傷と靭帯断裂と捻挫
足首関節における靭帯
靭帯損傷のメカニズム
靭帯損傷の診察方法
靭帯損傷の治療~保存療法と再腱手術~