長引く咳の原因の一つに副鼻腔炎があげられます。治療が遅れることで症状が悪化し、なかなか改善しない場合がありますので、早めに耳鼻科を受診することが大切です。
咳 の症状の改善には対処療法だけではなく、原因である 副鼻腔炎 の治療が不可欠です。
咳症状を引き起こす副鼻腔炎
風邪の症状とまちがえやすい副鼻腔炎の咳
副鼻腔炎の主な症状として、鼻水、鼻づまり、頭痛を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。しかし、そのほかによくある症状として咳があげられます。咳が続いて風邪が長引いているなと思っていたら、じつは副鼻腔炎の症状だった、というケースがあるのです。
副鼻腔炎の咳は対処療法だけでは改善しないので、原因である副鼻腔炎の治療をすることが必要です。自己判断で市販の咳止め薬などを服用し続けると、咳の症状がよくならないばかりか、めまいや発疹、食欲不振や口渇などの副作用が起こることがあります。
また、咳の症状の中には市販の咳止め薬を服用することで悪化してしまうものがありますので、むやみに服用し続けるのは危険です。市販の咳止め薬は一時的に症状を緩和させるためのものと考え、改善しない場合は医師の診察を受け適切な治療をすることが重要です。
鼻の調子が悪く咳がでる場合は、副鼻腔炎の咳の可能性がありますので、耳鼻科で診察を受けるようにしましょう。
副鼻腔炎の咳の特徴
副鼻腔炎の咳は痰まじりの湿った咳です。昼の時間帯よりも眠ったり横になったりすると咳がひどくなる、咳止め薬を服用しているのに咳が治まらない、胸のレントゲンに異常がみられないなどの特徴があります。
また、幼児では喘息のようなゼロゼロした聴診音がすることがあり、喘息様気管支炎の治療をする場合があります。
喘息様気管支炎の治療に用いる気管支拡張剤の効果がほとんどない、効果があっても一時的で咳の症状が改善しない時は、副鼻腔炎が原因の可能性がありますので注意が必要です。
副鼻腔炎になると咳がでる理由
副鼻腔炎の咳は、後鼻漏(こうびろう)による咳です。鼻漏とは鼻水のことで、後鼻漏は鼻水が鼻の後方からのどに流れ落ちることを言います。
健康な人の鼻では鼻水が毎日作られており、その量は2リットルとも6リットルとも言われています。その約3割はのどに流れ落ちるため無意識のうちに飲み込んでしまっているのです。後鼻漏じたいは病気ではなく、生理現象のひとつなので問題ありません。
しかし、副鼻腔炎などで鼻水の量が増えると後鼻漏も増え、仰向けの状態ではさらに量が増えてのどに溜まった状態になります。眠っている間にこの後鼻漏が粘り気を増し、目覚めた時に痰の混じった咳がでることがあります。
これはのどに溜まった後鼻漏を吐きだそうとしてでる咳です。さらに、副鼻腔炎は副鼻腔に溜まった膿が鼻水に混じることが多いので、臭いのする鼻水となってでてきます。その膿が混じった後鼻漏によってのどが炎症を起こし咳がでるのです。
つらい咳症状のケア
咳の症状の緩和には、保温と保湿を心がけるとよいでしょう。水分補給をこまめにして、冷水をさけ温かいものを意識して飲むようにします。部屋の温度は20度くらいを保つようにし、加湿器を使ったり洗濯物を干したりして湿度をあげましょう。
温シップなどでのどを温めるのも効果的です。外出時に冷たい空気を吸うと咳がでることがありますのでマスクをしましょう。眠る時にもマスクをすることで、のどの渇きを防ぐことができます。
そのほかに、のどスプレーや鼻うがいも有効です。鼻うがいは市販の鼻洗浄器を使用するとやりやすいようです。また、鎖骨と鎖骨の間にある天突(てんとつ)というツボを押すことで、咳やのどの痛みに効果が期待できますので、試してみてはいかがでしょうか。
長引く咳は体力を消耗します。何度も咳込むことでのどを痛めるだけでなく、肺や腹部の筋肉が痛むことも。また、咳込むことで食事が思うように摂れない、夜に咳がひどくなり寝不足になるなど、さらに体力が低下することも考えられます。
その結果、副鼻腔炎がなかなか改善しないという悪循環に陥ることがあります。できるだけ体を休めて体力の回復を心がけ、咳症状のケアをしながら、原因である副鼻腔炎の治療をすることが肝心です。
まとめ
咳症状を引き起こす副鼻腔炎
風邪の症状とまちがえやすい副鼻腔炎の咳
副鼻腔炎の咳の特徴
副鼻腔炎になると咳がでる理由
つらい咳症状のケア