太股 が 痛い !というときの原因は、大まかに三つに分けることができます。筋肉の損傷による場合、そして神経の圧迫による痛み、また血管や血液の状態による疾患などがあげられます。
筋肉、神経、血管をキーワードとして、太股の痛みの原因となる疾患と治療法についてご案内します。
太股が痛い!その原因となるおもな疾患
肉離れや筋肉痛を原因とする痛み
太股の痛みの原因として、もっとも多いのが筋肉痛と肉離れです。筋肉痛は普段の運動不足や、急激な運動、激しいスポーツにともない、日常的に引き起こされます。多く場合、一時的な筋肉のけいれんなどはありますが、冷やしたり、安静にすることで時間の経過とともに治まります。
過渡な運動が筋肉痛より激しい痛みをともなうことがあります。太股が腫れたり内出血をしている場合には、筋肉の損傷、断裂による肉離れと思って間違いないでしょう。
肉離れは年齢、性別、またスポーツ選手など問わずに誰にでも起こりうる筋肉の疾患です。その症状の多くは、太股の筋肉のうちでもハムストリングスと呼ばれる筋肉に起こります。
ハムストリングスとは、太股の筋肉のうち裏側にあるいくつかの筋肉の総称を言います。ハムストリングスは表側の筋肉に比べて鍛えることが難しく、筋力が劣る傾向にあります。
したがって急激な運動や負荷に対して、まず裏側にあるハムストリングスが損傷してしまうのです。その原因は、太股の表側の筋肉である拮抗筋(きっこうきん)とのバランスの悪さ、あるいは筋肉の柔軟性および筋力の不足があげられます。
したがってできるだけ柔軟性を保つこと、急に無理をしないことなどが予防策となります。
肉離れを発症した場合、まず冷やして安静を保つことが大切です。さらにテーピングやサポーターなどによる患部の固定、それ以上の炎症を防ぐための挙上など、いわゆる応急処置の定番となっているRICE(安静、冷却、保護固定、挙上)を施すことによって、その後の治療経過に大きな差が出てきます。
適切な初期治療を終えたら、速やかに専門医の診断を受け指示に従いましょう。場合によっては手術をすることもあります。
神経系の疾患が原因の場合
太股に痛みを感じる疾患のうち、加齢とともに多くなってくるのが神経に関する疾患です。
この神経にまつわる疾患は、末梢神経において何らかの圧迫や刺激が加わることによって引き起こされます。その症状は、痛みであったりしびれであったりしますし、また部分的であったり太もも全体にわたって痛みを感じることもあります。
神経系の痛みに関して、原因となる疾患を特定できるものを症候性神経痛、疾患を特定できないものを突発性神経痛と言います。症候性神経痛としてもっとも多いのが坐骨神経痛、そして大腿神経痛です。坐骨神経とは、腰から足先まで伸びている、人間の身体でもっとも太く長い末梢神経です。
症状としては、皮膚に近いところが痛んだりしびれたりするのが特徴です。坐骨神経痛の場合、太股に原因があるわけでなく椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、あるいは変形性股関節症などの腰部付近の疾患によって引き起こされます。
坐骨神経痛が、太股の裏側や側面に症状があらわれるのに対して、大腿神経痛は太股の表側に痛みやしびれの症状があらわれます。大腿神経痛が引き起こされる原因も椎間板ヘルニアや変形性股関節症となります。
太股の皮膚に近いところの痛みやしびれは、神経の圧迫が関係している可能性があります。日常的な姿勢や作業環境において腰部に何らかの負担がかかっていないか生活習慣の見直しと、医師への相談が必要です。
血管に関する疾患が原因の場合
太股にまひや痛みを感じる疾患に、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とバージャー病があります。下肢静脈瘤とは、足の部分、下肢において静脈にこぶができて血流が滞り、むくみやかゆみ、こむら返りなどが起こる病気です。長時間の立ちっぱなし、運動不足、老化などを原因となります。
バージャー病とは、足の末梢動脈の内部炎症による血流障害のことです。閉塞性血栓血管炎(へいそくせいけっせんけっかんえん)とも言います。国からの治療費補助が受けられる難病のひとつに指定されています。
太股全体にわたる冷感やしびれ、痛みをともないます。重度になると壊死(えし)、切断という事態を招くこともあります。成人男性に多く発症します。喫煙と密接な関係があると言われ、治療としてはまず禁煙をすすめられます。
またストレスも影響すると言われています。喫煙とストレスと病気というのは、常に三角関係にあります。生活習慣を見直し、より良いストレス解消法を探すことも大切です。
まとめ
太股が痛い!その原因となるおもな疾患
肉離れや筋肉痛を原因とする痛み
神経系の疾患が原因の場合
血管に関する疾患が原因の場合