外反母趾とは足の親指がくの字に変形して小指側へと曲がってしまう状態のことを言います。この外観的な違和感のために、手術を望まれる方も少なくありません。症状によっては手術を必要としない場合もあります。
外反母趾 治療における 手術 の必要性とリスクについてご案内します。
外反母趾における手術の必要性
手術に踏み切る前に
外反母趾には、必ずしも手術が必要なわけではありません。痛みもなく日常生活に支障がなければ、手術をする必要はありません。
外反母趾になる要因としてまずあげられるのが、窮屈な履物の利用です。ヒールの高い靴や先のとがった靴は、見た目の美しさとは裏腹に足に負担をかけてしまいます。
また足の縦横のアーチが浅く横幅の広い開帳足の方や土踏まずの浅い偏平足の方、あるいは親指が長すぎる方などは外反母趾になりやすい傾向があります。
これらの要因は先天性の場合もありますし、後天的な影響、外圧や履物の圧迫による変形の場合もあります。つまり理想的な足の形でないために、スムーズな体重移動ができないのです。
したがって本来親指がもっとも大きな力で蹴り込んで体重移動をしなければならないのに、他の指がその役割を代行し、変形してしまうのです。
つまり足の形が生活習慣として順応していくのです。それに伴い、多少の変形があったとしても痛みがなく、左右のバランスがとれていれば、さほど気にすることはありません。親指が内側に曲がりこんでしまうという外反母趾は、さまざまな要因に対して順応していった結果でもあるのです。
日常に何の支障もきたさないのであれば、治療の必要はありませんし、手術について考えることもありません。手術による矯正で、かえって歩行困難におちいったというケースすらあります。テーピングによる矯正、保存療法において治療できるならそれに越したことはありません。
インソールの必要性
外反母趾の治療には、まずテーピングなどによる保存療法が行われます。この圧迫に耐えられなかったり、長期間症状の改善がみられない場合には、手術に踏み切ることになります。
外反母趾の手術で、足指の変形が矯正されたとしても、土踏まずのアーチはそのままです。アーチの部分は体重移動の緩衝材として、足指への荷重だけでなく、ひざや腰など体全体に大きく影響します。
外反母趾の治療では、まずご自分の土踏まずに合うアーチのインソールを用意しなければなりません。インソールを装着するだけで体重移動がスムーズになり、痛みがなくなったという方も多くいらっしゃいます。
ご自分の足に合ったインソールの装着は、手術をするしないに係わらず必要なことです。
外反母趾手術の概要
外反母趾の手術は、両足を手術する場合と、片足ずつやる場合があります。どちらも可能であり、患者の選択により決定されます。ただし両足いっぺんに手術すると、しばらく両足が使えなくなるので長期入院が必要になります。
また片足ずつ手術すると、二度にわたる手術費用は、明らかに両足同時より高価になります。外反母趾の手術費用は、片足で20~30万円の健康保険適用で3割負担となります。両足同時手術の場合には、プラス10万円といったところが一般的な相場です。
手術の所要時間は1~2時間ほど、軟部組織矯正術、中足骨骨切り術、基節骨骨切り術、関節固定術、関節形成術などの手術法があります。
いずれの手術法においても、最低でも3~4日の入院が必要とされていたのですが、最近では局所麻酔で施術できるDLMO手術という手術法が用いられるようになり、日帰り手術も可能になりました。
ただしこれらの手術法は、外反母趾のすべての症例に対して有効なわけではありません。それぞれの症状に応じて適した手術法が選択されます。
外反母趾の手術後の処置
症状により手術後の経過にも違いが出てきます。術後しばらくは足を高く上げて安静にしておくことが望ましいでしょう。あまり安静にしすぎるとかえって血栓ができてむくんでしまうこともあります。
適度な関節運動も必要です。およそ1ヶ月ほどで足の軟部組織が修復されるので、その頃から体重をかけて足裏を地面につけることも可能になります。
それにともない歩行訓練、リハビリを行います。一般的な経過としては、2ヶ月で骨も修復されます。そして完全に完治させるまでに3ヶ月は必要です。
元の通り歩けるようになるまでに、これだけの期間を要してしまうということは、生活において大きなリスクとなります。手術に踏み切るには、経済的にも、精神的にも大きな覚悟が必要です。
まとめ
外反母趾における手術の必要性
手術に踏み切る前に
インソールの必要性
外反母趾手術の概要
外反母趾の手術後の処置