口と鼻の穴をふさいでから、肺の中の空気を鼻に送り込むと、一時的に鼻づまりが解消されることがあります。耳抜きと呼ばれる方法で、手軽に行われています。しかし本当に 鼻づまり に効くのでしょうか?鼻と 耳 の関係と、耳抜きのメカニズムと注意点についてご案内します。
耳抜きは鼻づまりを解消できるのか?
耳抜きのメカニズム
口と鼻、耳はつながっています。ですからいずれかに違和感があると、他の部位も不快を感じます。
鼻が詰まったときには耳もボワッとして聞こえにくい状態になります。これはうまく鼻呼吸が出来ていないために、耳の鼓膜の内側の空気圧が、鼓膜の外側の空気圧とちがってくるからです。
また飛行機での離着陸、エレベーターなどにおいては耳の鼓膜の外側の気圧が下がり、耳の奥に痛みを感じることもあります。このような場合に、つばを飲み込むと解消されたり、あえて鼻と口をふさいで鼓膜の内側と外側の空気圧を整えると耳の痛みが治まることがあります。
このような方法を耳抜きと言います。外部の気圧が低くて鼓膜が外側に膨らんでいるときは吸い込む形で、逆に外部の気圧が高い場合には耳から空気を出すように、どちらにせよ、ゆっくりと慣らしていく必要があります。
手軽ですぐに効果が望めることに間違いはありませんが、注意すべき点もいくつかあります。まず強くやりすぎないこと、さらに中耳炎などの耳の疾患をお持ちの方はやってはいけないということです。
気圧の変化による耳の痛みは耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)と呼ばれています。あまりにひどい痛みの場合には中耳炎の可能性もありますので、耳鼻科への受診をお勧めします。
鼻と耳の関係
鼻と耳には密接な関係があります。鼓膜の内側を中耳と言います。中耳の奥に耳管というのがあり、これが鼻とつながっています。
耳管が開いたり閉じたりすることによって、鼓膜の内側の空気圧が調整されます。普段閉じている耳管を開放するには、耳抜きやつばを飲み込んだりする方法がとられます。この場合、耳管開放症(じかんかいほうしょう)という病気もありますので注意が必要です。
耳管開放症は耳管が開きっ放しになり、気圧の調整が出来なくなる病気です。平衡感覚に異常をきたし、頭痛やめまいを伴います。原因はさまざまで突然発症したりします。発症したら医師の指示を仰ぎ、安静に過ごすことが望まれます。
鼻づまりを治すためにやってはいけないこと
風邪で鼻水が大量に出るからと言って力いっぱいかんではいけません。力まずにゆっくりとかみましょう。急激に鼻を噛むと、耳管を通って中耳の空気も引っ張られてしまい、鼓膜のへこんだ状態を作ってしまいます。
鼻水をすするときも同様です。すすられた鼻水がのどへ送り込まれることによって空気も抜けてしまいます。そして鼓膜の内側の気圧が下がり、耳が痛くなり、ふさがったような感覚に見舞われるのです。
このような状態を繰り返してしまうと中耳炎を発症してしまいます。中耳炎から難聴へと発展していくことさえありますので、くれぐれもご注意ください。
鼻水をすするときは、くれぐれも力いっぱいせずに、ゆっくりと片方ずつかんで下さい。そして鼻水をすすることは決してしてはいけません。
耳抜きも出来ればやらないで済ませた方がよろしいでしょう。せめてつばを飲み込むか、やむをえない場合には点鼻薬を使用しましょう。
鼻づまりから難聴へ
鼻づまりがひんぱんに起こると、溜まった鼻水のために耳管周辺まで不潔になってしまいます。やがて炎症が起き、中耳炎を発症します。
耳管がうまく働かないので、鼓膜の内外の気圧を整えることが出来ず、音がうまく伝わらなくなります。この段階で、内服薬の投与や噴霧療法をほどこせば、耳管周辺の炎症は治まり、元の状態に戻すことが出来ます。
しかし放置しておくと、炎症は中耳から内耳へと移り、取り返しのつかない状態を招いてしまいます。内耳には、音波を中枢に送るための聴覚神経がたくさん寄り集まっています。内耳を損なうと間違いなく難聴になります。
たかが鼻づまり、とあなどってはいけません。速やかでていねいな対処が大切です。
まとめ
耳抜きは鼻づまりを解消できるのか?
耳抜きのメカニズム
鼻と耳の関係
鼻づまりを治すためにやってはいけないこと
鼻づまりから難聴へ