風邪を引いたかなと感じる時、身体の熱感や怠さがありますが、関節が痛みだすことがあります。ではなぜ 風邪 の引き初めに 関節痛 が起こるのでしょうか。
それは、風邪のウィルスが身体に侵入してきた時に、防御反応として免疫細胞が活性化しPGE2という物質が分泌されることによって引き起こされます。そこで、風邪を引くと起こる関節痛とPGE2の関係及び役割、関節痛への対処法について述べたいと思います。
関節痛は風邪の引き初めに起こります。
PGE2の作用と関節痛との関係
風邪のウイルスの侵入によって活性化した免疫細胞によってPGE2(プロスタグランジンE2)が分泌されます。PGE2は人間の体の中の組織や器官に存在し、色々な役割を担うホルモンです。血圧低下作用や筋肉の収縮作用、黄体退行作用、血管拡張作用などがあります。
ただ、PGE2が単独で分泌されるのではなく、身体の細胞内にウイルスが侵入してきたことを白血球が感知してサイトカイン(細胞から放出され、特定の細胞に働きかけるたんぱく質の総称で免疫・炎症反応などの生体防御機構に重要な役割を果たしている)を分泌し、それに伴ってPGE2が分泌されます。
PGE2は人間が痛みを感じる閾値を下げて痛みを感じやすくさせる作用と炎症を引き起こす作用があります。従って、関節痛は、体内の免疫反応で放出されるサイトカインとともにPGE2が分泌されることで発生する現象であると言えます。
PGE2の役割と関節痛の意味
ウイルスや細菌が体内へ侵入すると、白血球からサイトカインが分泌されます。サイトカインはウイルスや細菌から身体を守るために分泌されます。ただ、過剰に分泌されると、臓器を機能不全に陥らせる危険性があります。
そこで、PGE2が分泌され、サイトカインの生成を抑制します。しかし、PGE2は関節の痛みや熱を引き起こす作用があります。つまり、風邪の引き初めの関節痛は、身体がウィルスや細菌と戦うための準備に入ったという徴候です。
風邪の進行とともに関節痛が増強するのは、体内の免疫機構がウィルスと戦っていることを意味しています。
関節痛の初期対応
まず、ほんとうに風邪を引いて関節痛が起こっているのかどうかの見極めをします。それによってその後の対処の仕方が違ってきます。風邪を引いて関節痛が起こっているのであれば、数日間安静にして療養すれば風邪が治るにしたがって関節痛も緩和されてきます。
しかし、関節の痛みを伴い更に高熱(38度以上)が出る場合は、インフルエンザの可能性があります。インフルエンザの流行期で感染の可能性があれば、早めに医療機関で確定診断をしてもらうことが必要です。
インフルエンザは、通常の風邪よりも強い特定のウィルスによって引き起こされますので、抗ウィルス薬を48時間以内に服用して重症化を防ぐことができます。
また、関節痛が治らず数週間(2週間以上)続く場合は慢性関節リウマチや膠原病などが考えられます。長引く関節痛は総合内科や整形外科等の専門外来を受診することをお薦めします。
風邪が原因の関節痛対策
風邪が原因の関節痛は、風邪を治すことに集中することが大事です。風邪を治す方法は安静にしてしっかり休養をとることと、保温して栄養をとることです。発熱や関節の痛みが酷くなってきた場合は風邪薬、鎮痛剤、湿布で痛みを緩和する方法があります。
しかし、薬に頼るよりも自身の免疫力で治す方が結果的に回復が早い場合があります。発熱するのはウィルスと戦っている証拠で、体温を上昇させることで免疫力を高めています。従って、熱を下げることはそれを妨げることになります。
ただ、高熱がつづくと体力を消耗し脱水状態になりますので、こまめな水分補給と医師に相談し解熱鎮痛薬を適切に使うことが必要です。以上のように、発熱や関節痛の意味をよく理解することで症状への不安がなくなり落ち着いて療養することができます。
また、個人の状態に合わせた薬の使い方をしていくことで苦痛を緩和させながら回復していくことができます。
まとめ
関節痛は風邪の引き初めに起こります
PGE2の作用と関節痛との関係
PGE2の役割と関節痛の意味
関節痛の初期対応
風邪が原因の関節痛対策