肩を上げると痛みがある方は 腱板損傷 や四十肩という怪我の可能性があります。これらの怪我は症状が似ているため、徒手的 テスト を行い判断することが有効とされています。
どのようなテストがあり、どのようにしてテストを行えばよいのかを今回はご紹介します。
腱板損傷の可能性を見つけるテストとは?
腱板損傷とは?
腱板損傷は、肩を安定させるために存在する4つの筋肉(腱板)が外傷や摩耗によって傷がついた状態をいいます。
損傷の段階では、腱板が断裂しているわけではないので肩をうごかすことが可能です。また、腱板損傷は、四十肩や五十肩などの症状と似ているため、きちんと識別しなければ、誤った治療法で治りが遅くなってしまうこともあるので、きちんとテストを受けることが重要です。
腱板損傷の識別方法に有効な方法は?
腱板損傷を識別するためには、徒手的検査として、肩関節へスペシャルテストを行うことが有効とされています。この怪我に関して有効と考えられるスペシャルテストは、ペインフル・アーク・サイン、外転抵抗試験、ドロップ・アーム・サイン、と主に3つあげられます。
ペインフル・アーク・サイン
このテストは、自力で腕を上げていく最中で痛みがでるかどうかを確認していきます。
まず、立位の状態で、まっすぐに立ちます。その状態から、怪我をしたほうの腕を肘が伸びたまま頭の上まで上げていきます。腕を上げる際には、身体の横で腕を動かします(側方挙上)。腕を上げていく途中で痛みがあるかどうか確認します。
もし、痛みが60度から120度の間で出た場合、「どんなに力を入れてもそれ以上、上がらないかどうか。」を確認し、上がるようならば上まで上げていってもらいます。そして120度を超えた状態での痛みの有無を確認します。反対に腕を下していくときの痛みの確認も行います。
60度から120度の範囲内で痛みがあれば腱板損傷の可能性が大いにあります。腱板損傷では、この範囲以外で痛みが出ないことがひとつの特徴なので、もし範囲外で痛みがある場合にはほかの怪我の可能性もでてきます。
外転抵抗試験
この外転抵抗試験は、3ヶ所で抵抗をかけられた力に対して保持ができるかどうかを確認するものです。この試験は、座位で行います。
まずはじめに、肘を伸ばした状態のまま腕を肩と同じ高さになるように真横にあげていきます。肩と同じ高さまであげることができたら、検査員が手の甲を押すようにして抵抗をかけていきます。
次に、先ほど上げた状態から腕を身体の前に持ってきます。この状態で同じように抵抗をかけ、保持できるかどうか確認します。最後に、腕が体の前にある状態から約30度内側に動かし、この場所で抵抗に耐えられるかどうかを確認します。
以上のテストを行い、上げたうでの高さが保持できなければ陽性と判断します。
ドロップ・アーム・サイン
立位姿勢で行います。まず、検査員が保持した状態で腕を上げ、その状態から徐々に下ろしていきます。90度付近で検査員が補助している手を離した際に患者が自分の力で腕を保持できず落ちてしまう場合を陽性と判断します。
保持できる場合は、腕に抵抗をかけて痛みがあるかどうかの確認も行います。この際に痛みが出た場合も陽性と判断します。
テスト結果のみで結果を判断しないこと
これまで、腱板損傷の可能性を見つけるための3つのテストを紹介しましたが、これらはあくまでも可能性を高めるものであって、テストの結果から診断できるものではありません。確実な怪我を診断するためには、病院でレントゲン検査を受けることが必要です。
レントゲンで確認すると腱板が損傷しているのか、断裂しているのか、それとも全く違う怪我なのかがはっきりと目で見てわかります。怪我にはそれぞれで適している治療法が異なります。
診断をきちんと受けず、憶測で怪我を治療していると治りが遅いだけでなく、怪我の悪化にもつながり兼ねないため、怪我が疑われる場合には病院での画像診断を依頼しましょう。
まとめ
腱板損傷の可能性を見つけるテストとは?
腱板損傷とは?
腱板損傷に有効な識別方法は?
ペインフル・アーク・サイン
外転抵抗試験
ドロップ・アーム・サイン
テスト結果のみで結果を判断しないこと