小児期の 臼蓋形成不全 は、乳児期にレントゲンで診断されることがほとんどです。画像上で診断されても、臨床的には問題がないこともあります。
しかし、発育性股関節形成不全になると、太もものしわが非対称であったり、股関節の開きがわるいこと(開排制限)などが見られます。乳児期の臼蓋形成不全は基本的に自然に改善することがほとんどです。
また、乳児期の臼蓋形成不全を未然に予防することは不可能です。治療はほとんどが定期的な経過観察が中心ですが、発育性股関節形成不全の場合、リーメンビューゲルと呼ばれる装具療法が行われますが、必要性の可否が議論されています。
不完全な股関節であるということは、良い状態を保っておかないと、状況が改善しなかったり、悪化してしまうリスクがあります。股関節を良い状況に保つためには、運動の量・質、体重のコントロールです。
小児期の臼蓋形成不全の生活上の注意点
乳児期の臼蓋形成不全とは?
股関節の臼蓋形成不全とは、簡単に言うと股関節の骨盤側の出来が悪く、かぶりが悪いということで臼蓋の腸骨部分の傾きを計測し(シャープ角)、乳児で30度以上ある場合を臼蓋形成不全と定義されることが一般的です。
乳児期の臼蓋形成不全は基本的に自然に改善されると考えることが通説になっています。ですから、発育性股関節形成不全や股関節の亜脱臼や脱臼ではない場合、特に治療はありません。定期的にレントゲン写真をとり、経過を観察していきます。
ただし、関節の形成が十分でないということは、容易に脱臼を起こしやすい状態であるということも言えます。
また、股関節脱臼を伴っていることが頻繁にみられます。ですから、関節の状態を良好に保つための生活の注意点があります。また、跛行や開排制限などの症状がある場合は治療の対象となります。
股関節臼蓋形成不全の発症原因
股関節臼蓋形成不全は股関節の亜脱臼や脱臼を伴っていること場合が多く見られます。
この臼蓋形成不全の原因については長い間論争となっていて、臼蓋形成不全があるから股関節脱臼が発生したのか、あるいは脱臼があるために形成不全が起こったのか、双方の意見が対立しています。
現在の研究者の多くは後者であると考えています。股関節脱臼は胎児の子宮内の姿勢が大きく関与されていると言われ、また、股関節の状態が正しい位置に整復されると、股関節の形成不全が改善する傾向にあるからです。
しかし、股関節の治療を早期に行っても臼蓋の形成が改善されない場合もあり、何等かの先天性の因子も関わっていることが考えられますが、明確にはなっていません。
股関節臼蓋形成不全のこどもの生活上の注意点
股関節臼蓋形成不全と診断されたこどもを持つ多くの親御さんは、どうしたらよいかわからなくて困惑するでしょう。股関節の状態を保つために、運動はあまりさせない方がよいのか、どうやって遊ばせたらよいのか、活動をどのくらい制限しなくてはならないのか、悩んでいます。
やみくもに制限する必要はないのですが、将来的に起こり得る股関節の問題を軽減するためには、運動や体重など、気を付けるべきことがあります。そこで、臼蓋形成不全のあるお子さんが日常気を付けた方が良い点を以下にあげます。
臼蓋形成不全がある場合、過度に股関節に負担をかけると、関節内の軟骨が痛んだりすり減ってしまう危険があります。負担が大きいかどうかは「痛み」です。
運動中や運動後に痛みがない範囲は運動可能なことが多いようです。適度に運動することは、股関節周囲の筋力がつき、関節をサポートしてくれます。
大事なことは、定期的に診察を受け、レントゲンで状態の変化をしっかり診ておくことです。その上で、運動量や強度については主治医と相談しましょう。やみくもに制限しては、こどもに過度なストレスを与えてしまうことになります。
もうひとつ大切なポイントに体重のコントロールがあります。運動制限を気にするあまり、肥満につながってしまうことがあります。肥満になってしまうと、股関節にかかる荷重が増え、負担が大きくなってしまい、痛みがでてしまうことがあります。
運動と食事、双方で気を付けていくとよいでしょう。また、関節に負担をかけない運動に、プールでの運動があります。
もし、痛みが出てしまった場合は、慌てずに安静にして股関節への負担を軽減しましょう。歩きすぎを控え、いつも通りに過ごして、翌朝に痛みが消えていれば問題ありません。
まとめ
小児期の臼蓋形成不全の生活上の注意点
乳児期の臼蓋形成不全とは?
股関節臼蓋形成不全の発症原因
股関節臼蓋形成不全のこどもの生活上の注意点