捻挫という言葉はよく聞くのですが、いったいどこからどこまでを捻挫というのでしょう?一般的に足首をひねったら捻挫だと思いがちですが、足首にかかわらず、あらゆる関節において起こりうるのが捻挫です。
捻挫 の定義と、特性と治療法についてご案内します。
ぐきっ!とその足首、もしかしたら捻挫?
捻挫って何?
普通に歩いていて、石ころの上に足が乗ってしまったときなど、バランスを取り戻そうとして、足首に可動範囲を超えるような負担がかかってしまい、激しい痛みと炎症が起こることがあります。
その症状において、診断の結果、骨が折れていたら骨折、関節が外れただけであれば脱臼と言います。さらにじん帯に著しい損傷が見られる場合には、じん帯断裂、あるいはじん帯損傷と診断されます。そしてそのいずれでもない場合に捻挫と診断されます。
つまり捻挫とは、関節の痛み炎症において、骨折や脱臼などのように骨への損傷がなくて、なおかつじん帯断裂、じん帯損傷と診断されない場合の症状を言います。
特に足首の関節において多くみられ、登山者やスポーツ選手などに起こるケガではナンバーワンの発生率です。
捻挫という診断
外からの強い衝撃により関節に痛みや腫れが生じた場合、X線検査が行われます。X線検査で骨に異常が見られなければ、捻挫という診断になります。つまり捻挫の場合の損傷は、じん帯や腱(けん)、軟骨や半月板など、骨以外の軟部組織ということになります。
症状はその損傷程度により異なります。場所によっては痛みを感じにくいじん帯もあるので、これくらいなら大丈夫!と軽視してしまわないよう注意しなければなりません。時間が経てば経つほど悪化する場合もあります。
また関節内のバランスがくずれて、変形性関節症へと移行してしまうこともあります。
まずは原因究明から
捻挫の治療において大切なことは、その前後関係をしっかりと把握することです。踏み外してひねったとか、その場合も右にひねったか?左にひねったか?着地の強烈な衝撃による捻挫とか、直接的な打撲による損傷か?ケガをしたときの状況によって、その後の診察も変わってきます。
右にひねったり左にひねった場合には、くるぶしのあたりの足首を重点的に調べます。着地の衝撃による損傷の場合には、足の甲から足首にかけて詳細な検査をします。
まずX線検査により骨の異常を調べます。その後、MRIによる詳細な検査を行います。MRI検査では骨以外のじん帯などの軟部組織の損傷度合いを調べます。骨折、脱臼の有無にかかわらず周囲の組織にも、必ず何らかの損傷があるからです。
この場合、じん帯の損傷がひどければ、じん帯損傷、あるいはじん帯断裂という診断が下されることもあります。
具体的な治療法
捻挫の治療は、保存療法が一般的です。手術はほとんど行われることはないのですが、プロスポーツ選手などはじん帯の再建や縫合のための手術を行うこともあります。
ケガをした直後は、安静にする(Rest),冷やす(Icing)、圧迫固定する(Compression)、患部を高くする(Elevation)などの処置が必要です。これらの頭文字をとってRICEと言います。
安静にする、冷やすは、患部の腫れを抑えるためです。圧迫固定するのは、それ以上の負担を掛けないためと患部の循環を抑えるため、患部を高くするのは、内出血等を防ぐためと患部の循環を抑えケガの進行を防ぐためです。
その後の治療は、弾力包帯やテーピング、装具などによって、関節の動きを制限しながら回復を待つという方法がとられます。
以前はギプスによる完全固定という方法がとられることも多かったのですが、長い期間の関節の固定は、周辺組織の硬化や劣化を引き起こし、かえって回復を遅らせたり、二次的な症状を引き起こすこともあるので、余程のことでない限り見送られる傾向にあるようです。
完治までには1~2ヶ月を要すると言われています。痛みやぐらつきを感じなくなったときが治ったときではありません。そこで無理をしてしまうと、またケガをしたり、二次的な後遺症が残ったりします。医師の指示に従って慎重に行動することが大切です。
まとめ
ぐキッ!とその足首、もしかしたら捻挫?
捻挫って何?
捻挫という診断
まずは原因究明から
具体的な治療法