プリン体 というとビールから取り除かれたり、摂りすぎは良くないイメージがあったりします。その実体は遺伝子の一部を構成する体になくてはならない成分です。とくにDNAやRNAの4つの塩基のうちの2つが、このプリン体(プリン塩基)です。
また体の中の酵素のはたらきを助ける助酵素の成分としてはたらくものもあります。
もっと知りたいプリン体の体内でのはたらき
プリン体はなくてはならない物質
プリン体のうち、アデニンとグアニンはともに体の中では核酸(DNAやRNA)として遺伝などの役割の中心となる物質です。またプリン体は、ATPやNADなどの酵素の補酵素を構成する成分としてもはたらいています。つまりこの物質なしでは生きられません。
体内では常に一定な量が必要です。それでグルタミン、グリシン、アスパラギン酸などのアミノ酸やリボース5-リン酸などから生合成されて作られます。その一方で多すぎるときは、キサンチンを経て尿酸となり尿として排出されます。
豊かな食生活によって目の敵に
体内で必要なプリン体については、原料となるアミノ酸から十分に作り出すことは可能です。したがってタンパク質や脂質のように、プリン体自体を栄養素として食物から摂る必要はありません。
プリン体は、もともと食べ物にはふつうに含まれています。なかには豊富に含むものがあります。煮干し、白子、レバーなどには豊富に含まれています。必要なプリン体は、体内で十分に作られています。
しかし健康な方にとっては、煮干しやレバーなどはミネラルやビタミンも豊富な優れた食品ですから、適量ならば体にとってはむしろプラスです。
用心しないといけないのは、すでに血液検査の尿酸値が高値の方、他に疾病を抱えていてプリン体や尿酸への注意を求められる方です。これらの方は、こうした食品のとり過ぎには注意します。
プリン体から尿酸へ
プリン体は、体内から尿あるいは胆汁として排出される過程で、肝臓において尿酸に変わります。
つまり尿酸の排出がうまくいかなくなった時や、尿酸が過剰につくられたときなどに、高尿酸血症といった症状が生じます。それでプリン体はその原料として、目の敵にされることがあります。
尿酸は水に溶けにくく血中の尿酸が飽和に達してしまうと、体の末端の部分に沈着して痛風などの痛みを伴うような症状を起こすことが知られています。これは動脈硬化などをまねくこともあります。
プリン体はこの尿酸と密接に関係があり、健康を害することにもなりますから、このように嫌われる面があります。
プリン体、尿酸の関わる検査値
上に示したように、体内の過剰なプリン体は肝臓で尿酸となり排出されます。この機構にトラブルが生じることがあります。血液検査の項目のひとつとして「尿酸」について調べることがあります。血中の尿酸値が高い値が続くと高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症の薬には尿酸の輩出を促すタイプと、尿酸の産生を抑えるタイプの大きく分けてふたつの種類があり、それぞれ医師から処方してもらえますし、選択することもできます。
プリン体との上手な付き合い方
プリン体はこのように体にはなくてはならないものです。その一方で、摂りすぎや体内に過剰にある場合には、さまざまな疾病とつながります。
とくに生活習慣病の一因として食生活をバランスのとれたものにしていれば、プリン体について心配することはいらないはずです。
むしろ、過度の飲酒や高カロリーの食事などが、生活習慣病やメタボリックシンドロームといった側面から、プリン体の産生や尿酸の蓄積と密接につながっています。
このように、プリン体については体にとって両面あるということを理解したうえで、上手に付き合っていくことが望まれます。
まとめ
もっと知りたいプリン体の体内でのはたらき
プリン体はなくてはならない物質
豊かな食生活によって目の敵に
プリン体から尿酸へ
プリン体、尿酸の関わる検査値
プリン体との上手な付き合い方