シンスプリント の医療機関での正式な診断名は、腓骨過労性骨膜炎(ひこつかろうせいこつまくえん)と言います。10代前半、筋肉がまだ成長しきっていない若い年代に多く発症し、うずくような痛みをともないます。
その発症原因と症状、また 疲労骨折 との違いについてご案内します。
シンスプリントと疲労骨折~似て非なる足の痛み~
シンスプリントって何?
シンスプリントの正式診断名は、腓骨過労性骨膜炎(ひこつかろうせいこつまくえん)です。では、腓骨(ひこつ)とは何か?どこの骨かというと、ひざから下、足首までの二本の長い骨のうち、外側後方にある骨のことを言います。もう一本のスネにあたる骨は、脛骨(けいこつ)と言います。
すなわちシンスプリントとは、この腓骨の下部1/3(つまりふくらはぎの下部あたり)が骨に沿って、全体的に痛む症状のことを言います。
発症するケースとしては、運動開始時がもっとも多く、次いで運動終了時に痛みを訴える方もいます。また10代の筋肉が発達段階にある若者による発症が多くみられます。
これらの発症事例より、原因としてあげられるのは、腓骨(ひこつ)への過剰な負担ということが想像できます。これがシンスプリントが初心者病と呼ばれる理由でもあります。
直接的な原因は、あまり使われていない固い筋肉が、急激な運動により骨を引っ張ろうとすることにあります。そのため骨を覆う骨膜が炎症を起こし、骨に沿って広い範囲に痛みをともなうのです。
シンスプリント~その特徴的な症状~
シンスプリントは、スネの周り、つまりふくらはぎの辺りに痛みを感じる疾患です。その痛みは鈍く、うずくように広い範囲にわたります。手で押さえたり、飛び跳ねたりすると激痛がします。けれども極端な刺激を避けて、ごく普通にランニングなどをしている分には、痛みはやがて治まります。
そのため、初めの痛みさえ我慢してしまえば、どうということの無い一過性の痛みとして軽視されがちです。
ここで我慢するということを美徳として、くれぐれも根性論で乗り切ろうとしてはいけないということを、力説しておきます。根性で乗り切らなければならないことは、他にもっとあるかもしれません。
20世紀になり、人間の身体について、多くのことが解明され、その情報を共有することができるようになりました。人間という生き物は、精神力だけではどうにもならないことが結構あるのです。シンスプリントを我慢して運動を続けていると、疲労骨折になります。
初めは運動開始時と終了時に痛むだけなのですが、そのうちに運動をしている最中もずっと痛むようになり、やがて日常的に痛むようになります。そうなったときは手遅れです。疲労骨折になると、半年以上運動をすることができません。これは根性ではどうしようもないことです。
何事においても、これくらい、この程度と思ったときに、その問題を軽視しないで、すみやかに適切な処置をすることが大切です。シンスプリントの発症に関しては、休養がいちばんの治療です。筋力の強化は、段階を経ながら、じっくりと取り組んでいかなければなりません。
疲労骨折の症状と治療
疲労骨折とは、骨の同じ部位に繰り返し何らかの負担がかかったときに、骨にひびが入るか、完全に折れてしまうかの状態になることを言います。
これはまさしく、シンスプリントの痛みをやせ我慢した結果として招いてしまいがちな疾患です。事実、疲労骨折になる確率の高い骨として腓骨は27%と、足指の骨の35%に次いで2位となっています。
疲労骨折の症状は鈍く、疼くような痛みですが、シンスプリントとの違いは、局所の痛みとして患部を特定できるところにあります。その診断はX線では判明しにくく、MRIなどによる詳細な検査が必要なときもあります。
難治性の場合には、手術をすることもありますが、おおむね安静にすることで自然治癒していきます。シンスプリントにせよ、疲労骨折にせよ、安静にすることで、身体が自然に治していきます。
どこで安静にするか、休養するかを判断することが、発症した当事者および指導者にとって、もっとも大切なことです。
まとめ
シンスプリントと疲労骨折~似て非なる足の痛み~
シンスプリントって何?
シンスプリント~その特徴的な症状~
疲労骨折の症状と治療