皆さんは、ズキズキと痛むふつうの腰痛とは少し異なるような腰周辺の痛みに心当たりはございませんか。患部の中心が腰そのものではないような場合、すべり症の疑いが出てきます。加齢などが原因とは限らず、子どもも発症します。
この機会に すべり症 というものを頭に入れておくと役に立つことがあります。
腰の違和感はすべり症の可能性
腰痛との相違点
腰椎が滑ってズレてしまうと、腰に痛みが生じます。腰椎がお腹のほうに滑って圧迫感を覚えます。背骨の腰周辺に位置する骨が何らかの原因により、本来の位置から滑ってズレてしまった状態をすべり症と呼びます。
2種類あり、「腰椎分離すべり症」は腰椎が打撲や疲労骨折などで切れたり折れたりして分離します。この分離した腰椎がすべり出した症状をいいます。
「腰椎変形(変性)すべり症」は、分離はしません。主に加齢により腰が退化・老化して腰椎が滑り出します。すべり症の症状は若者から高齢者まで腰痛、しびれ、下肢痛などが起こります。腰痛は10代前半から生じるケースもあります。
加齢以外の原因としては、ヘルニアと同様立ち仕事に従事されていると発症の確率は上がります。または、先天的に骨がやわらかい、腰椎がズレやすい体質であり、成長して動作が活発になるにつれて負荷が少しずつ蓄積されてある日発症に至るというケースです。
治療の基本は生活改善から
一つは「保存療法」で、理学療法や生活改善指導法が代表的です。
軽度の場合はできる限り自然に治すのが、からだの負担も少なく最善です。
理学療法はコルセットを着用したり湿布を貼ったりします。コルセットは煩わしいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょうが、最近は軽量でつけ心地の良いものがたくさんありますので、まずは毛嫌いせずに着用してみてください。
生活改善というのは、日常の動作を見直すことです。読書の習慣がついてから猫背気味になり姿勢が悪くなるように、日頃のご自身にとっては「ふつう」でも健康学的にはやや問題のある習慣を治します。
例えば階段の上り下りの姿勢、椅子の座り方、歩き方、走り方などです。些細なこととお思いになられるかもしれませんが、日々の積み重ねは決して侮ることはできません。
二つめは「薬物・神経ブロック療法」です。保存療法よりも即効性があります。薬物療法は、消炎鎮痛剤が一般的です。塗るとひんやりして気持ちが良く、一瞬楽になったような心持ちになります。神経ブロック療法は、注射です。麻酔薬を接種して痛みを麻痺させます。
どちらもその場しのぎにしかなりませんが、しのいでいる間に今後の治療について医師と検討することができますし、仕事の急用などがある方には大変有益な方法です。
三つめは、外科的療法です。つまり手術ですが、まずしないと考えてください。メスで患部を切って処置を施しますが、手術で完治する保証はありません。
何科へ行くべきか
整形外科のお世話になります。しかし、すべり症は不得手な医師に当たると心配ですから、脊椎専門医がいる病院を調べてそちらに行きましょう。そのほうがリハビリ内容も充実しています。低周波治療(電気マッサージ)や牽引療法(足を引っ張る)などで再発予防に励みます。
ご自宅でも、からだのバランスを整えて腰椎を支える筋力トレーニングを続けましょう。腹式呼吸は最も手軽にできるストレッチです。5秒かけて吸い、10秒かけてゆっくりはき出すのを1回10~20回、1日3セットを目安に行います。
腹筋を鍛えるのも有効です。やりすぎは筋肉をかえって痛めてしまいますが、適度に鍛えると背筋もできるようになります。これらを週に1度2時間ではなく、1日合計15分で毎日行うほうが筋肉がほぐれて血行も良くなります。
まとめ
腰の違和感はすべり症の可能性
腰痛との相違点
治療の基本は生活改善から
何科へ行くべきか