皆さんのなかには、 腰椎分離症 と診断されてこれから一生腰痛持ちになるのかと絶望的な心境になっておられる方も少なからずいらっしゃることでしょう。ですが、あきらめるのはまだ早過ぎます。辛抱強く治療を受ければ、 完治 は十分可能です。
手間暇を惜しまずに何をすべきであるのか、確認してみましょう。
腰椎分離症の完治を望むのは夢?
コルセットが命取りに
基本のおさらいですが、腰椎分離症とは腰椎の椎弓部(ついきゅうぶ)が分離してしまった状態をさします。この症状の完治とは、骨が再びくっついた(癒合)状態をいいます。
骨の癒合率は初期、進行期、終末期のどの段階であるかに加えて、年齢や体質、持病などの有無によって変わります。いずれにしても、初期、進行期の間に早く発見できればより高い確率で完治することは確かです。通常は6ヶ月ほどコルセットで矯正すれば、骨が癒合します。
コルセットはどんなに良いものでも決して付け心地の快適なものではありませんし、忙しい朝などに装着が面倒になりそのまま付けるのを止めてしまったというケースは一般的なことです。いかに先見の明をもって耐え忍ぶことができるかが最大のポイントです。
コルセットを作るために、まずは整形外科へ行きましょう。ご自身に合ったコルセットを作るためです。
整形外科を敬遠して市販のイマイチ合っていないコルセットを使うとかえって悪化してしまう可能性大です。洋服ではありませんので、ピッタリ合うのとまずまず合っているのとでは付け心地は全く異なります。ここで時間とお金を惜しんではなりません。
診断と治療のタイミング
X線検査を行います。実のところ、腰椎分離症の有無を確認するためにレントゲンを撮るというよりは、ほかの症状の検査で撮ってみたらたまたま発見されるケースが多いです。自覚症状がないような軽い段階で運良く見つかれば、ほぼ問題なく完治することができます。
コルセットのほかに、薬物による治療もあります。消炎鎮痛薬や筋弛緩薬を疼痛に対して服用します。コルセットと薬物でしばらく経過をみて、効果があらわれなかったり想定を下回るような場合は、手術ということになります。
患者さんが若年であり、椎間板がさほど変形していないケースでは、「分離部手術」という分離部分に骨を移植して固定する方法がとられます。
他方、椎間板が変形して分離すべり症が起きているようなケースでは、「脊椎分離固定術」という手術が行われます。これは椎骨同士をチタン合金などを使って固定する術式です。
ですが、手術は日常生活に支障をきたすような重症のケースでなければまず行いません。基本的には手術を行わずに経過を見守ります。
自助努力も不可欠
たとえ腰椎分離症になっても、痛みのない方もいらっしゃいます。そのような方々は、特に腹筋や背筋を鍛えているようです。風邪菌をもらっても発症する人としない人がいるのと同じで、日頃の健康管理、筋力強化がモノをいいます。
普段全く運動もせずに過ごしていれば、筋肉はみるみる衰えていきます。まずは腹筋10回、背筋10回を目標に頑張りましょう。筋肉の伸びを意識しながら1回1回ゆっくりていねいに行います。
また、コルセットをしていないときにも良い姿勢を心がけることはいうまでもありません。コルセットに頼りすぎると全身が弱っていきますので、安静にしすぎると逆効果です。じっとしていると血流が悪化して自律神経も乱れ、ますます体調が芳しくなくなります。
ご自宅ではできないことですが、水泳も効果があります。泳げなくとも水中を歩くだけで十分です。浮力によってからだへの負担は減少しますから、限度をわきまえれば症状が悪化することはまずないでしょう。腰椎分離症に限らず、運動不足は万病の元です。
まとめ
腰椎分離症の完治を望むのは夢?
コルセットが命取りに
診断と治療のタイミング
自助努力も不可欠