みなさんは腰痛と胃痛が同時に起こったことはありませんか。その 腰痛 が背中側の痛み、 胃痛 がお腹側の痛みの場合、二つの痛みは別々の症状ではなく、何らかの病気のサインの可能性があります。
腰痛と胃痛の関連性について
内臓疾患の可能性
腰痛が原因で胃まで痛くなったり、胃痛が原因で腰痛が起こることがあります。疑われる疾患には以下のようなものが考えられます。一つは、十二指腸潰瘍です。十二指腸は背中側にある内蔵です。この背中側に炎症や潰瘍ができると、背中から腰にかけて痛みを感じるようになります。
胃や腰の痛み以外にも、食欲不振や吐き気、胸やけのような不快感を生じます。十二指腸潰瘍は早期の治療が大切です。放置しておくと慢性化しやすい病気ですので、早めに病院へ行きましょう。
二つめは、急性虫垂炎です。いわゆる盲腸です。初期症状として胃痛と腰痛が現れ、徐々に右わき腹に痛みが集中していきます。その際、発熱も伴います。発熱のある腰痛と胃痛は、まず急性虫垂炎を疑って病院で診察を受けてください。
三つめは、尿管結石です。ふつうの筋肉の疲労による腰痛は、ある動作をすると必ず痛むという症状があります。尿管結石の場合の腰痛も、身体を動かすことで痛みます。ですが、痛みのポイントがわかりにくく、鈍い痛みが続きます。
尿管結石は何らかの原因により、尿路の部分にシュウ酸カルシウムが結晶化し、石を作ってしまう病気です。この石が動くと痛みが起こり、胃痛や腰痛を起こしているのです。尿管は背中側にあります。そのため先に腰痛が起こり、徐々にお腹の痛みを感じることが多いようです。
我慢して自然に治るものではありませんので、病院へ行きましょう。
重症化の恐れのある内蔵疾患の可能性
以下に挙げる病気は、主として好ましくない生活習慣によって引き起こされることの多い疾患です。
一つは、胆石症、胆のう炎です。胆石とは、胆汁の成分が固まったものです。胆石症は胆石ができる病気、胆のう炎は胆石が原因で発熱や腹痛が起こります。
脂質の摂り過ぎなどが原因で、近年増加傾向にあります。中高年以上の方で、ご自身の生活習慣を省みて思い当たることのある場合は腰痛や胃痛、発熱がある場合に思い出して頂きたい疾患です。
二つめは、胆のうポリープです。「ポリープ」と聞くと食べ過ぎの人がなる悪い病気のイメージをお持ちの方も多いかと思います。ポリープには良性のものもありますが、癌などの悪性のものもあります。
また、良性でも大きいものの場合は癌である可能性が高くなります。切除手術が必要なケースが多いですから、医師の診断に任せましょう。
三つ目は、すい臓の病気です。腰痛を伴う胃痛の症状が出ます。アルコールや喫煙などが主な原因となります。すい臓癌、急性すい懐死、急性すい炎などの可能性があります。
慢性すい炎になると、すい臓に持続的に炎症を起こすようになりますので、我慢して腰や胃の痛みに耐えることはむずかしいでしょう。持病の腰痛とストレスによる胃痛だ、などとやせ我慢せずに病院へ行って治療を受けましょう。
四つ目は、腎臓の病気です。腎臓は背中側に位置しているため、異常事態には腰痛を引き起こします。
腎臓癌は、腰痛・胃痛のほかに血尿や食欲不振などの症状があります。誰しも自分が癌であるかもしれないとは思いたくないでしょうが、迷わず病院へ行く必要があります。
腎盂腎炎は、聞き慣れない方も多いと思いますが、腎盂・腎実質に炎症を起こす病気です。腰痛・胃痛のほかに、発熱や血尿、嘔吐、吐き気などの症状に苦しむことになりますので、さすがにご自宅で様子見しようという方はいらっしゃらないと思います。一刻も早く病院へ行くことをお勧めします。
早めに病院へ
まずは消化器内科、胃腸科などで診察を受け、異常が見つからなければ整形外科へ行きましょう。
「内蔵の病気」なのか「筋肉疲労による腰痛」なのかをご自身ではっきり区別するのは困難です。敬遠せずに病院へ足を運びましょう。
まとめ
腰痛と胃腸の関連性について
内臓疾患の可能性
重症化の恐れのある内臓疾患の可能性
早めに病院へ