腰痛を引き起こす原因はあまりにも多く、複雑に絡み合っています。そのうちのひとつが股関節に関係する痛みなのかも知れません。 股関節 は、腰部において最も重要な役割を担い、日常の生活習慣を含んだ 腰痛 予防にも大きく関係していると言えます。
股関節痛による腰痛
股関節とは?
人間の身体は、下肢、腰から下の足を自在に動かすことが出来る仕組みになっています。前後に動かしたり、広げたり、すぼめたり、ひねったり、あらゆる動きに対応することが出来るのは、股関節が他の関節と違い、球状の関節になっているからです。
股関節とは骨盤と大腿骨の継ぎ目のことを言います。構造的には、大腿骨の上端の大腿骨頭(だいたいこっとう)と呼ばれる部分が球状になっており、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるソケット状の部分にはまり込んで、足の自由な動きをまかなうようになっています。
健康体の正常な状態では大腿骨頭の4/5が寛骨臼の中に包まれています。股関節は足の自在な動きに対応しつつ、上半身の重さも支えなければなりません。しかも大腿骨は股関節のすぐ下で曲がっているので、そこの弱さの部分も負担しなければなりません。
人間の身体にとって要とも言える、とても重要な関節です。股関節の損傷によって、寝たきりになる高齢者が多くなっていることは、社会問題ともなっています。
股関節と腰痛
股関節は普段から負担の大きい関節なのですが、その特殊な形態により、上半身の重さを上手く分散し、バランスをとっています。けれども悪い姿勢、いわゆる猫背の方や、無理な姿勢を長時間続けたりすると、関節部の負担が偏り、痛みを感じるようになります。
この痛みは正確には股関節痛と呼ばれるのですが、腰部全体としての神経が股関節を通っているために、腰痛ととらえられがちです。
腰の痛みに耐えかねて整形外科を受診すると、異常はありませんと言われ、痛み止めと胃薬だけをもらって帰るといったケースが多々あります。そのような場合、もしかしたら股関節の異常による腰痛かも知れません。
パトリックテスト
パトリックテストという、股関節異常を発見する方法をご案内します。まず仰向けに寝ます。そしてそろえて伸ばした両足のうちの片方を横に曲げて、もう片方のまっすぐ伸ばした足の膝の少し下の、脛の部分に乗せます。
そのときに曲げた足が、水平を保っていたら異常はありません。膝の部分が持ち上がっていたら、股関節異常の可能性があるということになります。
変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の異常や老化により股関節が変形していく病気です。老化による後天性の一次性変形股関節症と、先天性の二次性変形股関節症があります。
二次性変形股関節症は、先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)や先天性臼蓋形成不全(せんてんせいきゅうがいけいせいふぜん)を原因として発症します。
これらの関節部分の異常や形成不全により、足の動きが制限され、ますます負担が偏ることになります。そして部分的に軟骨がすり減ったり、ささくれ立ったりして痛みを感じるようになるのです。
治療予防としては、股関節の可動域を拡げるストレッチなどが有効です。また負担の偏らない姿勢を心がけることも大切です。
また、あまりに痛みが激しい場合には人工股関節置換手術という方法もあります。ただし人工関節の耐用年数が10~20年となっているので、取り換えのために再手術を行わなければなりません。
大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)
大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭への血流が何らかの理由で妨げられて、骨頭部分が壊死してしまう病気です。骨折や、アルコールの多量の摂取、ステロイド剤の多飲などにより発症します。骨頭の末端部分の壊死だけで終わり、そのまま治るケースがほとんどです。
症状としては、初めは階段の上り下りに痛みを感じる程度から、だんだんと歩行困難におちいっていきます。悪化して症状が進むと、骨頭が陥没し変形します。さらに寛骨臼が破壊されてしまい歩けなくなってしまいます。日常の生活習慣を見直すことが、何よりの予防になります。
まとめ
股関節痛による腰痛
股関節とは?
股関節と腰痛
パトリックテスト
変形性股関節症
大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)