腰痛 を引き起こす原因は様々で、複雑な要素が絡み合っていることもしばしばです。そのため治療法については、まだまだ発展途上と言えます。手術にいたるケースはまれです。現時点で最も効果的な治療は、適切な リハビリ を続けて予防に努めることと言えます。
リハビリによる腰痛の治療
リハビリの目的
リハビリテーションとは、狭い意味では機能回復訓練のことを指します。すなわち傷ついたり、衰えてしまった機能をもとの状態に戻すための訓練です。関節を曲げたり伸ばしたり、マッサージを受けたり、歩行訓練などがそれに当たります。
それぞれに専門があり、理学療法士や作業療法士などの適切な指示に従い行われます。
広い意味でとらえますと、「人間らしさ」や「自分らしさ」への回復、そのための全ての行動がリハビリテーションということにもなります。すなわち生きていることはまさしく「自分らしくあること」ですので、その全ての行動がリハビリと言っても良いのかもしれません。
たとえば、失ってしまった身体の一部がもう二度と取り戻せないとなったとき、失ったものを補うためのリハビリだけでなく、失っても明るく、その人らしく生きられるように支援していくこともリハビリテーションなのです。
それは専門職だけでなく、家族や知人友人、自治体など社会全体で見守り、育んでいくことです。
腰痛の治療について
腰痛というのは人間に宿命づけられた疾患のようで、まさに「人間らしさ」のマイナスの一面とも言えるかもしれません。その「人間らしさ」のマイナスをプラスにするために、複雑と言われる腰痛の原因を探り当てて、治療に努めなければなりません。
たとえば心因性のストレスによる腰痛と断定できれば、そのストレスの原因を取り除くことが治療になります。職場を変えたり、引っ越してみたり、あるいは旅行に出掛けたりすることは、ストレスを取り除くためのまぎれもないリハビリとなります。
また筋肉痛による腰痛や、神経系の疾患による腰痛の場合は専門職の方の指示による、直接身体に働きかけるリハビリテーションが主となります。狭い意味でのリハビリとなりますが、リハビリは継続が大切です。ご自宅、あるいは職場においても周囲の協力が必要になることもあります。
椎間板ヘルニアの治療
椎間板ヘルニアの治療というと、消炎鎮痛剤を服用しつつコルセットなどで固定し安静を保つ方法が一般的です。様子を診ながら、痛みによってはブロック注射を注入することもあります。このような治療法を保存療法と言います。
時間をかけることによってヘルニアは消失していきます。しかしながらコルセットを外した後の再発の可能性が高く、再発防止のためのエクササイズやストレッチは欠かせません。また症状によっては初めからコルセットを使わずにリハビリのみで治療に当たることもあります。
椎間板ヘルニアによる腰痛の場合、まずは関節部分の硬さを取るためのストレッチが必要です。そして椎間板のはみ出した部分を元の位置に戻すための運動をします。やがて痛みも治まっていきますので、背骨の周囲の筋肉を強化する運動を継続して行うことになります。
腰部脊柱管狭窄(ようぶせきちゅうかんきょうさ)の治療
腰部脊柱管狭窄の治療には、手術により圧迫の原因を取り除いたり、血管拡張作用のある薬物投与により血流を改善していく方法がとられます。しかしながら、どちらも限定的で後遺症が残ったりすることもあります。
リハビリによる治療となりますと、インナーマッスルの強化により、圧迫感を和らげていくことから始まります。腹筋を鍛え、背骨を取り巻くバランスを整えていきます。理学療法士の指示に従いながらのリハビリが理想的ですが、ご自宅で自主的にされる場合には入浴中の運動が効果的です。
筋肉も柔軟になり、温まることで腰部脊柱管狭窄の痛みの原因でもある血流障害が改善されます。
ウォーキングによるリハビリ効果
ウォーキングは、他のエクササイズやストレッチ体操と違い、激しく消耗することも無く、腰への負担も少ないため、最も取り入れやすいリハビリと言えます。
また全体の筋肉をバランスよく使い、特に背筋や腰部の筋肉の運動には最適です。心肺機能も高まり、血管も丈夫になります。また、精神的にも、違う風景を歩いたり行き交う人々と挨拶を交わしたりすることによってストレスの発散になります。
まとめ
リハビリによる腰痛の治療
リハビリの目的
腰痛の治療について
椎間板ヘルニアの治療
腰部脊柱管狭窄(ようぶせきちゅうかんきょうさ)の治療
ウォーキングによるリハビリ効果