腰に痛みを感じる症状の総称を腰痛と言いますが、一括りにはできないほど種類が分かれているのをご存知でしょうか。 腰痛 の 種類 により対処方法や禁忌となる動作が異なるため、知らずに対処してしまうと症状の悪化に繋がりかねません。
腰痛にも様々な種類があるってご存知ですか?
原因不明の非特異的腰痛
非特異的腰痛と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、X線やMRIなどの検査では原因となる要因が絞りきれない腰痛のことを指します。腰痛を訴える人のおよそ85%が非特異的腰痛に当てはまるとされており、私たちが最も頻繁に体感する腰痛です。
症状は腰が重いような痛みで下肢に痺れなどの神経症状が出現しないことが特徴です。発症頻度に性別による差はありませんが、肥満体系や運動不足の人、長時間の座位や腰を屈める機会が多い人に発症しやすく、年齢では30代から60代前半に多いとされています。
また、心因的ストレスを抱える人はそうでない人に比べ約30倍発症リスクが高いとされており、精神状態も腰痛に大きく関係するのです。治し方や対処方法は軽度の運動が効果的だと言われています。腰に大きく負担が掛からないジョギングやウォーキングなどがお勧めです。
心因性の腰痛
心因性の腰痛は腰部の筋肉や骨、内臓には検査で異常が見られないものの腰痛を感じるものです。症状としては肩こりや全身の怠さを同時に発症していることや、朝方に症状が強く出やすいといった特徴があります。
非特異的腰痛に分類されますが、近年認知されるようになり症例も増加傾向にあります。ある医師の報告によると、腰痛の多くは腰ではなく脳に原因があり、ストレスがその引き金になるとし、ストレスの解消が腰痛の改善にも繋がると述べています。
実際に心因性の腰痛を疑われる患者にうつ病や心身症の治療を行い、結果、腰痛が軽快したという症例もあり、近年では腰痛の原因がストレスによるものでないか判定するための質問シートが用意されている病院もあります。
筋・筋膜性腰痛
筋・筋膜性腰痛は腰周囲の筋肉や筋膜が何らかの原因で損傷し発症する腰痛です。急性と亜急性に分類でき、急性は腰の無理な動きによるケガが原因としてスポーツ選手に特に多いとされています。
バレーボール、バスケットボール、ゴルフなど腰を多く使用する動作が多い競技ではさらに発症リスクが高まります。症状は激しい痛みと灼熱感、痛みにより腰が動かしづらくなることが特徴です。治し方や対処方法は安静と患部の冷却です。
炎症が激しい状態のため、炎症を鎮めることに重点を置きます。一方亜急性は長時間、または長期間腰にストレスが掛かった状態が続くことにより筋肉や筋膜が緊張し発症します。症状は腰が重く感じるといったもので比較的長い期間悩まされます。
治し方や対処方法は軽度の運動やストレッチが有効です。激しい炎症は発生していないため、適度に腰を動かし血流を促進させ筋肉や筋膜の緊張状態を和らげることが重要となります。
非常に危険で緊急性の高い腰痛
腰痛は時として非常に重篤な病気のサインである場合もあります。腹部大動脈解離と腹部大動脈瘤は死に至る確率が高い病気であり、腰痛が主な症状の1つです。
腹部大動脈解離は非常に激しい腰痛が症状なのですが、ぎっくり腰と症状が類似しており、適切な治療を受けずに手遅れとなるといったケースはしばしば見受けられます。ぎっくり腰と異なる点は、腰痛を感じる部位が移動する、どのような体勢でも痛みが軽減することがない、日数が経過しても改善する様子がみられない点です。
腹部大動脈解離は発症後1ヶ月以内での死亡率は50%程度であり、非常に早い段階で医療機関を受診することが重要となります。腹部大動脈瘤は咳や血痰、腰の鈍痛が初期症状ですが、治療せずに動脈瘤が破裂した場合は非常に激しい腹痛や腰痛が発生します。動脈瘤が破裂した場合の死亡率は80%~90%だと言われています。
このように命に関わる腰痛も存在するため、少しでも腰痛を感じたら整形外科を受診することが重要なのです。
まとめ
腰痛にも様々な種類があるってご存知ですか?
原因不明の非特異的腰痛
心因性の腰痛
筋・筋膜性腰痛
非常に危険で緊急性の高い腰痛