スポーツをされていらっしゃる方は、「ケガをして膝の靭帯が伸びると大変だから、気をつけなさい」などと言ってもらったことがあるのではないでしょうか。ですがその「 靭帯 が 伸びる 」とはどのような状態であるのか、きちんと説明できる方は少数派と考えられます。
理屈がわかっているほうが説得力がアップしますから、覚えておきましょう。
靭帯が伸びるってどういうこと
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自然に治る?
実は、靭帯は伸びてはいません。伸びるとは「損傷している」という意味です。部分的に切れていたり、靭帯の損傷が軽度な場合に「靭帯が伸びる」と表現するのが一般的になっています。
靭帯には関節を安定させる役割がありますが、膝の靭帯が安定しないからといって「靭帯が伸びたのかな」と察しをつける方は稀です。素人目にわかるような症状ではありません。
膝は健康な状態のときでもほとんど常に曲がっていることもあり、血流の良好な部分ではありません。そこで靭帯を損傷すると前十字靭帯は血流がとても悪い部分のため自然治癒することは、ほぼないと考えて良いでしょう。
けれども、しばらく安静に過ごして膝の痛みが治まることはあります。安静にしつつ膝の筋肉を鍛えることで、日常生活に支障がなくなればこの段階で一般的には完治となります。
しかし、重労働のお仕事や競技レベルでのスポーツをされる方の場合は、日常レベルでは治りが不足していますから手術の検討が必要となってきます。
原因はスポーツ?
スポーツをされる方のほうが靭帯の伸びる可能性は増えます。ほかの競技は大丈夫ということではありませんが、特にサッカーやバレーボール、スキー、ラクロス、アメフト、バスケットボール、柔道、格闘技などプレー中に選手同士の接触の多いスポーツは要注意です。
接触の衝撃で関節に負荷がかかり、靭帯損傷を起こします。スポーツをする習慣のない方でも、運動不足や加齢、肥満などによって発症することがあります。日頃からだを動かさない方がいきなりラジオ体操をして痛めるということもあります。
また、加齢に伴いちょっとしたこと例えばふだん物置にしている自宅の2階に久しぶりに上がって下りたら、急に膝がおかしくなるケースも想定しておきましょう。体重オーバー気味の方が、いきなりウォーキングなどを始めるのも高リスクです。関節の耐久にも限度というものがあります。
靭帯の損傷は男性よりも女性に多くみられますが、原因はほとんど解明されていません。
慢性的な症状への発展
初期の段階で安静にしていれば、おおかたの痛みは治まります。急性期(3週間~1ヶ月くらい)には膝の痛みと可動域制限があり、動けないわけではないので無理をして動きたくなるかもしれませんが辛抱のときです。
できれば膝を伸ばして過ごす時間を増やすとなお良いです。正座やあぐらなどはもってのほかです。これでは休んでいるとはいえません。この時期を乗り越えれば、可動域も徐々に広がって痛みや腫れも回復していきます。
しかし損傷の仕方や部位によっては、反らし・ひねり動作や下り階段などで膝の不安定感を覚えることがあります。このときただちに面倒くさがらずに病院へ行くべきです。その不安定感を放っておくと、軟骨損傷や半月板損傷などを引き起こして泣きをみる可能性があります。
最終的には慢性的な痛みや腫れ(水腫)に発展することもあります。アキレス腱が切れることと靭帯が伸びることを混同してしまい、アキレス腱は一大事だが靭帯は大したことないと思い違いをしていると痛い目に遭います。
治療を受けながら痛みに耐えることと、病院にも行かずにただじっと耐えるのみ、というのは全く別物です。2つも3つも病状を抱えることになったら、それこそ歩行困難になってしまいます。そうならないように、どうかすみやかに病院で診てもらってください。
まとめ
靭帯が伸びるってどういうこと?
自然に治る?
原因はスポーツ?
慢性的な症状への発展