靭帯が損傷するということはどういうことなのでしょう?そして 靭帯損傷 が 足首 関節に多いのはなぜなのでしょう?そもそも靭帯とは、どんな役割と機能を持っているのかというところから、靭帯を損傷してしまう理由と受傷したときの治療法について探っていきます。
足首関節における靭帯損傷~その原因と治療~
靭帯って何?
靭帯とは、関節部位において骨と骨が離れないようにつないでいる筋状の組織のことを言います。筋肉のように柔軟な伸縮性はなく、むしろ硬いゴムのような強度を持っています。関節を安定させて、動きを制御するはたらきがあります。
靭帯損傷とは、靭帯が外部からの衝撃により、伸びたり切れたりすることを言います。完全に切れた状態を靭帯断裂、部分的に切れている状態は靭帯損傷、あるいは捻挫と診断されます。靭帯損傷の起こりやすい関節部位としては、肘、膝、足首があげられます。
特に肘の靭帯損傷は野球肘と言われるくらい野球選手に多く、アメリカの大リーグで活躍しているダルビッシュ投手や田中投手が右ひじの靭帯損傷で長期離脱したのは、記憶に新しいところです。
また膝関節における十字靭帯断裂も受傷ケースの多い靭帯損傷のひとつです。やはりスポーツ選手に多く、バスケットやバレーボールの選手が着地時に受傷したり、あるいは交通事故の衝撃で受傷することもあります。
そして、もっとも靭帯損傷の起こりやすい関節が足首です。足首における靭帯損傷はスポーツ選手に限らず多くの方が、特に成長過程のお子さんなどが受傷する傾向にあります。
足首の靭帯損傷が多い理由
足首の靭帯損傷が多いのは、常に足首が負担をかけられているからです。足首は体重の全てを支え、さらに身体の俊敏な動きに対応しなければなりません。そのため関節に強いられる柔軟性といったら、他の関節の比ではありません。
全力で駆けているときに急に止まったり、あるいは反転したり、小石を踏んだり、飛んだり、空き缶を除けたりと常に危険にさらされているのです。避けようのないあらゆるトラブルに対しては、筋力と柔軟性でカバーするしかありません。日頃から足首関節のストレッチを欠かさないことが大切です。
足首の靭帯で損傷しやすいところ
足首関節には全部で四つの靭帯があります。内側にあるのが三角靭帯、外側にあるのが前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)、後距腓靭帯(こうきょひじんたい)、踵腓靭帯(しょうひじんたい)です。
このうちもっとも損傷しやすいのが前距腓靭帯です。また前距腓靭帯の影響で、踵腓靭帯が損傷することもあります。通常、靭帯損傷と呼ばれるのは、前距腓靭帯の損傷、もしくは踵腓靭帯も合わせた受傷のことを言います。
足首関節は構造上、足首を内側にひねることによって受傷してしまいます。外側にひねられていたら、骨折と思って間違いありません。そして足首を内側にひねってしまう原因は小石だったり、空き缶だったり、道路のくぼみだったりと、ほんの些細なことなのです。
靭帯損傷の応急処置
急なアクシデントにより靭帯損傷した場合には、応急処置の基本であるRICEを実践しましょう。それぞれ安静(R)、冷却(I)、保護固定(C)、挙上(E)という意味の英語の頭文字を組み合わせた言葉です。
受傷したら、まずは患部を冷やして安静にすることです。そして患部を保護固定します。このとき注意すべきは、あまりきつくしすぎないことです。
最初の保護固定がきついと、その後さらに炎症が増したときに対応できません。最初のテーピングはほどほどに加減して、そして患部が動かないように慎重に巻かなければなりません。
受傷の程度にかかわらず医師の診断を受けることは大切です。軽い捻挫と思って軽視していると、二次災害を引き起こしたり、再発の可能性が高くなります。必ず専門医を受診し、適切な治療を受けましょう。
保存療法と手術
靭帯損傷の治療は、ほとんどの場合保存療法が施されます。手術をするのは、靭帯が完全に切れてしまった場合、もしくは部分断裂でもスポーツ選手のように特別な事情がある場合に限られています。
完全に切れても、その後の生活が患部に負荷をかけないのであれば、保存療法が選択されることもあります。いずれにせよ、靭帯断裂の治療においてもっとも大切なのはリハビリトレーニングです。
素人判断で感覚的にこなしてしまうのは危険です。専門医、理学療法士の指示に従い、慎重に取り組んでいかなければなりません。
まとめ
足首関節における靭帯損傷~その原因と治療~
靭帯って何?
足首の靭帯損傷が多い理由
足首の靭帯で損傷しやすいところ
靭帯損傷の応急処置
保存療法と手術