頭痛と耳鳴りは本来同時に起こることはあまりありません。しかし、近年偏頭痛と耳鳴りの関係性が明らかになってきました。近年の偏頭痛や耳鳴りに悩む人が増加しているのには、ストレス社会が大きく関係しているようです。
耳鳴り も 頭痛 も、どちらも生活をとても不快にさせるものですが、正しく理解して、生活を見直すことで、症状を緩和させたり解消させることができます。
頭痛と耳鳴りの関係
耳鳴りの4つの原因
耳鳴りは大きく分けて、実際に音が起こっている耳鳴りと脳の中で起こっている耳鳴りの二つに分けられます。後者の脳の中で起こっている耳鳴りは、いくら耳の治療をしても治りません。
耳鳴りの発生機序は4つにわけることができます。
一つ目は耳の疾患から起因するものです。中耳炎・外耳炎・内耳炎・鼓膜炎・外リンパろうなどの疾患の場合、耳鳴りを伴うことがあります。これらの場合は耳鼻科での治療で原疾患が治癒されれば、耳鳴りは消失されます。
二つ目は筋肉の緊張や体の歪みに起因するものです。肩こりや腰痛、姿勢の悪さで体のバランスが崩れて耳鳴りが起こります。特に前かがみの姿勢が原因で、後頭下筋群がこると、耳や目を支配している神経を圧迫して耳鳴りが起こり易いと言われています。
この場合は、体のゆがみを矯正したり、姿勢を気を付けるなど、生活習慣の見直しが必要です。
三つ目はストレスが起因するものです。聞きたくない、考えたくないなどの拒否の気持ちが強いと、耳鳴りの症状がでることがあります。
耳には、自分で意識したものを取り入れる性質があり(カクテルパーティー効果)、逆に取り入れたくないものは防衛反応として聞こえないように耳鳴りが起こるのです。
四つ目は、脳や神経が原因の耳鳴りです。代表的なものに突発性難聴やメニエール病、偏頭痛が当てはまります。これらは、精神的・社会的ストレスや不規則な生活によって起こりやすくなると言われています。
特に突発性難聴は早期に治療を開始することが重要で、休養と生活習慣の改善と並行して投薬治療を行います。
偏頭痛と耳鳴りの関係
今まではあまり知られていませんでしたが、2010年の頭痛学会で、「慢性的な偏頭痛が耳鳴り・めまい・不眠を引き起こす」ことの発表がされました。
この耳鳴りは、実際に耳で音が鳴っているタイプの耳鳴りではなく、慢性的な頭痛で脳が興奮状態に陥り、聴覚をつかさどる部分が誤作動を起こし耳鳴として症状がでるのです。
偏頭痛は、自律神経の乱れにより脳の働きがアンバランスになって起こります。ですから、鎮痛剤で痛みを抑えるだけでは頭痛は治まっても、耳鳴りは解消しません。脳の興奮状態を正常に戻す対策が必要なのです。
頭痛の対処療法としては、血管拡張を抑えるトリプタン製剤が処方されます。その他に、上記の学説によると、脳の興奮を抑えるための抗てんかん薬や、気持ちの興奮を抑えるために抗うつ剤が有効とされています。
症状の根本的な解決策は、投薬治療だけでなく、偏頭痛の原因となっているストレスを解消することや、日常の中にリラックスできる時間を設けることが必要です。
耳鳴りと頭痛の隠れた疾病のリスク
大半が耳の疾患や体のゆがみ、自律神経の乱れからくる症状なのですが、中には気を付けなければいけない疾患が隠れている場合があります。
特に注意したいのは硬膜動静脈瘻です。硬膜動静脈瘻は圧力の高い静脈と低い動脈がつながってしまうことにより、出血したり脳圧が下がったりして、様々な症状を引き起こします。この疾患の初期症状が軽い耳鳴りと三叉神経を刺激されて起こる偏頭痛なのです。
この状態を放置しておくと、意識障害や運動機能障害、失語症などの重篤な症状に発展してしまいます。症状が治まらない、いつもと様子がへんだな?と感じたら医療機関を受診してMRIなどの画像検査を受ける必要があります。
その他、先に述べた突発性難聴も、早期に治療しないと、難聴が残ってしまいます。頭痛と耳鳴りが同時に起こっている場合は、頭痛外来・脳神経外科でしっかりと脳の重篤な疾患が隠れていないかを、診てもらうことが必要です。
また、総合病院では、頭痛に対する診療科と耳鼻科の連携が取れているので、治療がスムーズにすすみます。
まとめ
頭痛と耳鳴りの関係
耳鳴りの4つの原因
偏頭痛と耳鳴りの関係
耳鳴りと頭痛の隠れた疾病のリスク