自律神経失調症 ではさまざまな症状があらわれます。整形外科、神経内科、総合内科など複数の科を受診し、検査を受けても特に異常が見つからず、最終的に心療内科を紹介されることが多いです。しかし、心療内科を受診すれば全て解決できるわけではなく、根治には時間がかかります。
治し方 は受け身ではなく、自分で治すこと( 自力 )が重要になってきます。
自律神経失調症の治し方は自力が回復の原動力です
自律神経失調症とは
自律神経は交感神経と副交感神経からなっています。自律神経は自分の意志とは関係なく働く神経で、呼吸、循環、代謝など生命活動を担います。そのため自律神経が失調するとさまざまな身体の不調を起こしてきます。
日本心身医学会では自律神経失調症を「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と定義しています。疾患名ではなく「神経症やうつ病に付随する各種症状を総称したもの」というのが一般的です。
自律神経の機能と失調の症状
交感神経は、体を活発にする神経で昼に強めて夜には弱める働きをします。副交感神経は、体をリラックスさせる神経で夜に強めて昼には弱める働きをします。
従って、交感神経が強すぎると夜になっても体がリラックスできず不眠、疲れがとれない、体調不良などが起こってきます。逆に、副交感神経が昼も強く働いていると朝になっても血圧が上がらず、立ちくらみやめまいが起こって体が活動状態にならず、元気がでずやる気が起こらなくなってきます。
つまり、私たちの体は交感神経と副交感神経がうまくバランスを保っていることで体調を維持していると言えます。
ホメオスタシス
ホメオスタシスは生体恒常性と言われ、人間の生命活動をスムーズに行うために体温や酸素濃度、ホルモンの分泌量などを一定の状態に維持していく機能です。そして、ホメオスタシスが機能するのに自律神経の働きが関与しています。
つまり、自律神経のバランスが崩れるとホメオスタシスがスムーズに機能しなくなり、心身の不調、免疫力の低下などが起こり、ひいては生命を脅かす状態になっていきます。
自分で実践する自律神経の整え方
自律神経の整え方としては、食物、入浴方法、睡眠、運動があります。食物では食物繊維の多いもの(腸内をゆっくり通過する)、酸っぱいものや辛いもの(体にとって不快なものを早く排泄しようとする)、発酵食品(腸内環境を整える)、水分(消化器系を刺激する)があげられます。
つまり、これらの食物は消化器系を活発にする副交感神経を刺激します。入浴は、熱い湯は交感神経を刺激するので、38度~40度で10分間くらい浸かって温めます。シャワーだけでは交換神経を刺激します。入浴は食後1時間以上経ってからにし、就寝1時間前には出た方がいいです。
これは、消化吸収の働きを妨げないことと、体温が少し低下しないと入眠しにくくなるからです。また、活動と休息のリズムを整えるため早寝早起きを習慣化し、部屋は暗くして間接照明ぐらいにします。スマホやテレビは交感神経を刺激します。
部屋を暗くすることで副交感神経を働かせ良眠を促し、朝の光を浴びることで交感神経に切り替わり1日の活動が始まります。
運動は交感神経を刺激しますが、自律神経にメリハリがついて副交感神経の働きもよくなります。体を動かすことで筋肉がほぐれ血行が良くなります。血行がよくなると体の隅々まで酸素や栄養が行きわたり身体のさまざまな細胞が活性化していきます。
また、神経自体にも栄養や酸素が行きわたって神経細胞の状態もよくなります。運動は適度な量が大切で、急にやり過ぎると筋肉を傷めたりします。
まず、ウォーキングから始めてみましょう。徐々に歩数を増やしていきましょう。最初は10分ウォーキング、次に20分~30分と、20分で2,500歩ぐらいです。焦らずに自分のペースで進めましょう。
そして、重要なのは、自分で治すという意志をもつことで、毎日実践を継続することが自然治癒力を高め、自律神経失調症の完治につながると言えます。
まとめ
自律神経失調症の治し方は自力が回復の原動力です
自律神経失調症とは
自律神経の機能と失調の症状
ホメオスタシス
自分で実践する自律神経の整え方