何らかの衝撃をきっかけに肩が痛くなった。肩が不安定で上がりにくい。などといった症状は 腱板損傷 の可能性があります。だいたいは保存的治療で治るといわれていますが、大切なのはその後のリハビリです。
リハビリ のやり方は治療方法にもよって異なりますが、きちんと行わないと悲しい結末を迎えてしまうことも。そうならないためにも、リハビリ方法について学んでみましょう。
腱板損傷の予後を良くするためにも適切なリハビリを!
腱板損傷とは?
腱板損傷とは、肩の深部にある腱板と呼ばれる組織を損傷してしまった状態をいいます。腱板は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つから構成されており、主に棘上筋を損傷しやすいといわれています。
腱板損傷が起きてしまうと、肩の安定機能が壊されてしまうため方が不安定な状態になります。この怪我は、加齢によって老朽化している腱板に何らかの外力が加わることによって起きることが多いといわれています。
損傷の具合は完全断裂か不完全断裂の二つに分類されています。
完全断裂は、腱板が完全に断裂してしまった状態で、ある程度の期間を設けて改善がみられない場合は手術が必要になります。
不完全断裂は、腱板が一部断裂してしまう状態で治療に手術は必要ではありませんが、完全断裂の際とほぼ変わらない痛みがあるといわれています。
腱板損傷の症状
腱板損傷は受傷したばかりの際は腱板の断裂によって起きてしまった肩峰下滑液包と呼ばれる肩の骨を覆っている膜のような組織の炎症などによって、安静時痛や夜間痛がよくみられます。
時間が経ち炎症がおさまってくると、腱板組織が挟まれることによる痛みや肩の組織が引っかかるような違和感を感じることもあるといわれています。
腱板損傷の治療法
腱板損傷は基本的に保存療法で症状の改善がみられるといわれています。しかし、中にはなかなか症状の改善がみられず、痛みが長い間続いてしまう場合もあります。
あまり長い期間症状が悪い状態でいると怪我の予後も悪くなってしまうため、だいたい3ヶ月を目安として手術を行うかの判断をすることが多いといわれています。
怪我の受傷から3ヶ月を過ぎた状態でもいまだに肩の痛みや不安定感、脱力感がみられる場合には手術を行います。手術の方法としては、関節鏡視下手術が適用されることが多いです。
怪我の改善にむけてリハビリが行われますが、手術を行った場合とそうでない場合には違いがあります。
リハビリ方法~保存治療~
保存治療の場合は怪我の受傷からだいたい1~2週間は安静期とし、三角巾などを使い患部を固定しながら炎症を抑えるようにアイシングなどの物理療法をおこなっていきます。
炎症が改善し、痛みがなくなってきたら患部を徐々に動かし、日常動作レベルや競技復帰レベルへの回復を目指していきます。腱板のなかでも、特にどの筋肉を損傷したかをつきとめ、その周辺の筋肉から徐々に鍛えていきます。
一度傷ついている筋肉は急に負荷をかけると再度損傷しやすい状態にあるため、周りのサポートしてくれる筋肉から鍛えていくことをおすすめします。運動の強度は、弱い運動から始め、徐々に強くしていきます。
リハビリ方法~手術治療~
手術治療の場合には保存治療の場合と比べて長く安静期間をとります。手術によって縫合した筋肉や皮膚の繊維が再生するまでに時間が必要だからです。だいたい安静期は4週間を目安としています。
しかし、全く何もしないでいると、筋肉が萎縮してしまって肩を動かせなくなってしまうこともあります。これを防ぐために、安静期の間は電気で筋肉に刺激を与えて筋肉が固まってしまうことを防ぐリハビリを行います。
安静期を過ぎ、少しずつ肩を動かせるようになると、自動運動でのリハビリを開始します。はじめは、肩の外転運動を30度までと小さく設定し、徐々に運動の可動域を広げていきます。
怪我受傷からだいたい6週間を過ぎ、徐々に動きに慣れてきたら、ゴムチューブやダンベルなどの重りを使い、負荷をかけながら運動を行っていきます。つまり、日常生活や競技復帰にむけての本格的なトレーニングは術後6週間以降ということになります。
怪我をしてしまってから、早く今までのような生活に戻りたい、スポーツをやりたいと気持ちは焦ってしまうとは思いますが、きちんと段階を踏んだリハビリテーションを行わなければ、後に怪我が再発してしまう、さらには後遺症を残してしまうなどと悲しい結末を迎えてしまうことにもなりかねません。
ですので、しっかりと病院の先生やリハビリ担当の方の指示に従い、相談しながら治療・リハビリに専念することが早期復帰の近道にもなり、健康的な未来をすごすきっかけにもなります。
まとめ
腱板損傷の予後を良くするためにも適切なリハビリを!
腱板損傷とは?
腱板損傷の治療法
リハビリ方法~保存治療~
リハビリ方法~手術治療~