腰痛の治療のために整形外科や接骨院を受診したことのある人は、治療の1つとして腰を温めた経験はありませんか? 腰痛 の治療に主に用いられるのは温熱療法であり、腰を 冷やす ような治療はあまり行いません。
実は腰を冷やす行為は治療の効果が薄いと言われているのです。
腰痛で腰を冷やす行為は治療効果が薄いことはご存知ですか?
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患部を冷やす治療について意外と知られていないコト
足の捻挫や突き指などのケガをした場合、まず患部を冷やすことを思い付く人は多いと思われます。ケガの応急処置の基本的な動作としてもRICEと呼ばれる4つの処置のなかの1つに、冷やす(Ice)があります。
このため、ぎっくり腰や腰を打撲した場合でも、痛みのある部位を冷やすことが効果的だと思われがちなのですが、近年、この常識が覆りつつあります。それは、腰痛に対して腰を冷やすことは実は治療効果が薄いということです。
これは慢性的な腰痛に限らず、ケガによる急性腰痛や使い過ぎによる亜急性腰痛に関しても同様です。それどころか、どのようなケガに対しても患部を冷やすことは応急処置としては適していないのではないかと、2014年にRICEを考案した人物から疑問の声が挙がりました。
腰痛に対して冷やすといった選択肢は近年、懐疑的になりつつあるのです。
腰痛を冷やして治療効果があったというはっきりとした科学的根拠はない
腰痛については未だに分かっていない点が数多く存在しますが、腰痛を冷やした場合の治療効果についても不明な点が多いのです。
その1つの理由として、腰痛を冷やして治療を試みる研究を行った例が非常に少ないことが挙げられます。また、研究例があるものの、治療効果については結論を出すことができなかったという文献もあります。
このように腰痛に対して腰を冷やす行為は科学的にはまだ根拠が示されていないのです。そのため、自身の判断で今まで腰痛を冷やしていた人は整形外科を受診し適切な治療を受けることをオススメします。
患部を冷やすことによって得られる効果
腰痛に対して患部を冷やす治療は科学的根拠がないことが分かりましたが、全く効果が無いとは言い切れません。患部を冷やすことは腰痛の治癒には関係が浅いかもしれませんが、鎮痛効果があります。
そのため、腰痛の症状が激しい場合は痛みを和らげるために患部を冷やすことは一定の効果があると言えます。しかし回復を早めるような効果はないため、あくまでも一時的な応急処置のレベルに過ぎません。
患部を冷やすデメリットとデメリットの回避法
患部を冷やすことはメリットよりもむしろデメリットのほうが目立ちます。まず、患部を冷やすことは筋肉や神経、軟部組織にダメージを与える可能性があります。
また、冷やすことはリンパ液の排出を阻害することが分かっており、これにより筋肉や軟部組織が負ったダメージの回復が遅れる可能性も指摘されています。
さらにスポーツ選手の場合は、筋肉や軟部組織が患部を冷やすことによって柔軟性の低下や動作の低下が発生し、パフォーマンスの低下に繋がるとされています。
このデメリットを避けるためには、患部を冷やす時間を適切なものにする必要があります。長時間冷やしてしまうとダメージはより大きくなってしまうため、概ね15分~20分程度が良いとされています。
結局腰痛にはどのような処置が効果的か
RICEについて先ほど軽く触れましたが、冷やす(Ice)以外の安静(Rest)、圧迫(Compression)、拳上(Elevation)のうち、安静と圧迫が腰痛には効果的です。安静は慢性の腰痛には効果は薄いものの、急性の腰痛に対しては素晴らしい効果があります。
圧迫はコルセットや腰痛ベルトの装着が当てはまり、ほぼすべての腰痛に効果があるとされています。ただし、背骨の歪みや骨盤の位置、体型は個々に差があるためドラッグストアや通販での購入は避け、整形外科でご自身に合ったものをオーダーメイドする形が効果的だと思われます。
腰痛には腰を冷やす以外に効果的な処置が存在するため、デメリットの目立つ「冷やす」方法は避けたほうが無難かもしれません。
まとめ
腰痛で腰を冷やすのは治療効果が薄いことはご存知ですか?
患部を冷やす治療について意外と知られていないコト
腰痛を冷やして治療効果があったというはっきりとした科学的根拠はない
患部を冷やすことによって得られる効果
患部を冷やすデメリットとデメリットの回避法
結局腰痛にはどのような処置が効果的か